後半戦もなお迫力ある攻撃を継続するのはオレンジの色のユニフォーム。
　埼玉栄は41分、MF蔵川慎吾のパスを受けたDF塩川尚輝が右サイドを突破しシュート。47分、右サイドを追い越したDF高野俊晟のクロスからニアサイドへ走り込んだFW森山虎太郎がヘッド。52分には、左サイドから MF髙橋利樹のラストパスに抜け出したDF塩川尚輝がGKと1対1の局面を迎えるなど、立て続けに所沢北ゴールへと襲い掛かるも追加点が遠い。

　耐えて耐えて耐え続け、所沢北は一瞬の隙を狙う。
　66分には久しぶりの好機到来。右サイドから供給されたクロスは一度クリアされるも、こぼれ球を拾ったFW石川文哉がシュート。わずかにゴールポストをかすめ、同点には至らなかったが、それでも満身創痍の中反撃に出る所沢北のチャンスにスタンドは沸き上がる。

　しかし、最後に際立ったのはやはり強者の貫録。
　追加点を奪えないもどかしい展開にも、粘り強く攻め続けた埼玉栄は68分、待ちに待った追加点。左サイドからのカットインを試みたMF髙橋利樹の突破は阻まれるも、こぼれ球に反応したFW杉浦拓磨が蹴り込む。埼玉栄にこの日2度目の歓喜が訪れ、勝負を決めた。

　埼玉栄が所沢北の粘りに苦しみながらも初戦突破。8年ぶりの王座奪還へ、まずは大会初戦を確実に勝ち切ることに成功した。

（文　金子侑史）