川口青陵 vs 立教新座 (写真=埼玉通信・石黒登)

 2ゴールを奪った1年生SB今野朝陽はこれが公式戦初出場。「もう本当に最初の方はガチガチだった」といきなりの大一番での起用に序盤はなかなか身体も動かなかったが、「だんだんとプレーしていくうちに慣れて、後半は2点取れたので本当に良かったです」と笑顔で振り返った。

 実はメンバー入りしたのはエントリー期限ぎりぎり。直前まで怪我もあり、当初は「メンバーに入れるのがやっとという見立てだった」という中で「今週のトレーニングが非常に良かったというか、パフォーマンスが良くできていた。僕の中では「大抜擢」だった」と前田監督は明かす。

 今野の武器は攻撃力に加えて、その「得点力」だ。中学校年代はGRANDE FCに所属。「中学の時から自分はどんどん前に上がっていって得点に関わりたいタイプ」(今野)。指揮官も「意外にも得点を取る能力というのが彼はある子。普段からサイドバックですけど、点を取っているシーンはよく見る」という。アピールとなった試合週の紅白戦でもしっかりと得点を挙げていた。

 するとこの試合でもその得点能力を披露。後半フリーキックの折り返しをきっちり詰めると、圧巻だったのが自身2点目。「風間さんから受けた時にちょっとキーパーを見て、立ち位置が少し前に寄っていたので、思い切り振れば入るかなと思ったので自信を持って振り切りました」。

 その際に選択したのは利き足ではない左足だ。「左足で飛ばす方はできるんですけど、シュートというのはあまり意識は持っていなかった。でも最近意識して練習するようになって、それがうまくいった」と今野。まだかなり距離もあった中で、シュートは山なりの軌道を描きながらキーパーの上を越えてネットに突き刺さるゴラッソ。指揮官の「大抜擢」に2ゴールで応えた。

 1年生ながら179cmと長身で身体の厚さもある。さらに得点力のある攻撃的サイドバックとなればそれだけでも大きな期待を抱かせる。今後は同じ大型SBとして目標としているという日本代表DF酒井宏樹(マルセイユ)のように、攻守での早い切り替えや左足のさらなる向上など課題はあるが、これからの伸びが楽しみな選手だ。

記事提供:埼玉サッカー通信・石黒登

▽第99回全国高校サッカー選手権埼玉予選
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