昌平 vs 浦和南 (写真=埼玉通信・石黒登)

 「自分がFWとして起用されるというのは得点が必要だということ」―。攻め込みながらも2点目が奪えない中で後半26分に途中交代でピッチに立った篠田大輝は投入から9分後の35分、クロスからFW小見洋太がトラップしたボールが自らの前にこぼれると、相手ディフェンスを制しながら反転して左足を一閃。チームに欲しかった追加点をもたらし、これが決勝点となった。

 昨冬の選手権では3回戦・國學院久我山戦で決勝ゴールを飾ったシンデレラボーイ。2年生となった今年は9番を背負い、新人戦では3試合4得点を記録して優勝に貢献したが、大会後に左足の第五中足骨にボルトを入れる手術を行い、そこから長期離脱を強いられることとなった。
 6月に一度は練習復帰したものの、それから1か月ほどで違和感が出て再度離脱。結局、完全復帰を果たしたのは「夏休みが終わったくらい」となってしまった。チームではその間に同級生で同じ右ハーフに入る平原隆暉や1年生ながら堂々トップ下を務める荒井悠汰が台頭。復帰後もなかなかスタメンを取り戻すまでは至らず、今予選初戦はサブからのスタートとなった。
 それだけに誰よりも「結果」を求めていたのが篠田だった。そして、少ない出場時間の中で難敵相手に決勝ゴールという形で実現。「難しい試合になるというのはあった中でそれを自分の決勝弾で決められたのは良かったし、自分的にもプラスになったと思う。やっぱり結果を残すのが一番のアピールになる」とスタメン再奪取に向けて好アピールした試合を振り返った。

 昌平の2列目は言わずもがな激戦区のポジション。「2人(平原と荒井)ともうまいし、自分にないものをたくさん持っている。負けたくないですけど、現時点でスタメンじゃないというのは2人に劣っているということ。そこに食い込んでいけるようにもっと練習していきたい」と篠田。いまは劣っているとしても「結果」や「練習でのプレー」から取り返していく構えだ。

 コロナ禍では手術後で走り込みができない中で筋トレや足のトレーニングを重点的に実施。昨年より下半身の安定感はあったが、この期間でさらに強固な下地になった。「昨年よりついたと思います。下半身が太いといってもちょっとぽっちゃりした感じだったと思うんですけど、いまだったら負けないですし、そこは自信を持ってやっています」と進化に自信も口にする。
 また、チームではプロ入りを決めた4人の先輩に日々刺激を受けているという。その中でも鹿島内定MF須藤直輝は「スペシャル」な存在。「来年は「直輝くんの次は俺だ!」みたいな、そのくらいの強い意志を持ってやりたい」と篠田はいう。次世代の昌平のエースとなるために、まずは予選を通じてスタメンを奪還し、来年は自分が須藤に代わるスペシャルな存在となる。

記事提供:埼玉サッカー通信・石黒登

▽第99回全国高校サッカー選手権埼玉予選
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