後半開始直後の46分、興國は樺山が左サイドからカットインして仕掛けたところからのこぼれ球から決定機を迎えるもポストとバーに連続して弾かれゴールならず。その後は4番MF湯谷杏吏が抜群のキープ力と展開力で試合を落ち着かせ、興國がボール保持率を増やしていく。対する金光大阪も48分、左サイドのスローインから中央で収めてスルーパスに抜け出した石上がGKと一対一になるもシュートを枠の上に外してしまい決定機をモノにできない。興國は前半窮屈そうだった7番FW南拓都が後半から左サイドのウイングにポジションを移し得意なサイドで再三突破しチャンスを作る。72分にはその南が左サイドから中にカットインして強烈なミドルを放つもGKのセーブに合い惜しくもゴールならず。ゴールが遠い興國だったが89分待望の勝ち越し点が生まれる。樺山の強烈なシュートがGKに弾かれて獲得した右CKを18番MF武本射雅が中に入れると、中央に走り込んできた途中出場の16番MF山本蒼太がドンピシャでヘディングシュート。これがゴールネットに突き刺さり興國が勝ち越しに成功する。これで後がなくなった金光大阪はボールを奪いに前からプレスをかけるも、1番GK田川知樹を効果的に使った興國のボール回しを打開できない。この試合を通して暑さの中懸命なディフェンスを続けていた金光大阪だったが、前線のプレスを剥がされたことで90+5分に遂に右サイドを崩されてしまう。興國は右サイドを突破し中に入れるとこれを樺山が収める。11番DF児山雄基が上がったタイミングに合わせヒールでパス。完全に抜け出した児山が冷静に逆サイドに流し込みゴール。興國にダメ押しの3点目が入る。そのまま試合は3-1で終了し興國が初戦をモノにした。
1ゴール1アシストと流石の活躍を見せた興國の横浜Fマリノス内定の樺山だが、明らかにプレーに変化が見えた。特に昨年までだったら強引に突っ込んで行くだろう場面での落ち着き方である。内野監督曰く「いい意味で脱力出来ている」状態なのだろう。「マリノスの練習で突っ込んでいっても潰されるんで、簡単にはたくところとミスをしないってところを気を付けている」と本人も話すように仕掛けるところと簡単にプレーするところのメリハリが効いている。そして「去年選手権を経験して勝ち切ることの大切さを学んだ」と選手権全国大会での悔しい経験が更に樺山を成長させている。
勝利した興國は次節セレッソ大阪と、敗れた金光大阪は京都サンガとそれぞれJユースチームと対戦する。
(文・写真=会田健司)
▽高円宮杯 JFA U-18サッカースーパープリンスリーグ 2020 関西
高円宮杯 JFA U-18サッカースーパープリンスリーグ 2020 関西