が、明徳義塾も「全国でプレッシャーのかかった場面でやっているのでパスミスとかがあってもあわてなかった」とCB舛田凱（2年）が語ったように、落ち着いた守備でこれに対応。前半はスコアレスで折り返す。

　後半「もっと周りに声をかけてゲームをコントロールしろ」とハーフタイムに小松晃監督から檄を受けた４－１－４－１システムのアンカー役・禹滉允（3年・主将）を中心に明徳義塾はギアを一段上げる。そして迎えた59分・右SB岡崎郁矢（3年）が相手DFライン裏を狙ったロングボールに反応したのはFW竹内優太（2年）。高知商GK尾崎也裕（3年）との駆け引きを制した竹内の左足シュートがゴールネットを揺らし、明徳義塾が先制する。

　続く62分にもMF江口隆史（1年）がペナルティーエリア右からのカットインから放った左足シュートが相手DFに当たりループ気味にゴールに到達したことで、試合の主導権は完全に明徳義塾の側へ。高知商も塩見や後半開始から切り札として投入したFW堀見勇貴（3年）の縦スピードを使って勝負をかけるが、インターハイ初戦で全国屈指の攻撃力を誇る國學院久我山（東京）に2対1で競り勝ち、続く2回戦でも桐生第一（群馬）を4対0と完封した明徳義塾の守備力が揺らぐことはなかった。

　「前回は4年ぶりだったので経験することが一番だったが、今年は勝ち取ってつぎにつなげるようにしたいです」明徳義塾・小松晃監督の選手権への抱負はあくまで10年ぶりの選手権1勝。ただ、「インターハイのベスト16で慢心した雰囲気が出たが、準々決勝・土佐戦（スコアレスで延長・PKで勝利）後のミーティングでチームが引き締まった」と振り返った禹滉允（3年・主将）はこう言い切る。

　「選手権ではベスト16以上を目指したい」。インターハイで全国を驚かせた堅守速攻は健在。高知県勢としては高知がマークした第88回大会以来6年ぶり、明徳義塾としては初出場でマークした第79回大会15年ぶりの大会2勝を彼らは果敢に目指していく。

（文：寺下　友徳）