Jクラブ争奪戦必至の永長鷹虎が3戦連発!興國が桃山学院下し初の全国まであとひとつ

桃山学院vs興國

 6月6日、令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)大阪予選の準決勝が行われ、9大会ぶりの全国を目指す桃山学院と初の全国を目指す興國の試合は、前半3ゴールを奪った興國が3-0で桃山学院を下した。勝利した興國は準決勝に進出し、昨年選手権大阪予選準々決勝で敗れた大阪桐蔭と対戦する。

 「(興國を)リスペクトしてブロックを張ってカウンターを狙う選択肢もあったんですが、選手たちと高い位置からプレッシャーかけにいく事を決めていました」と堀監督が振り返ったように、桃山学院は6回戦で履正社を倒した勢いそのままに試合開始から興國に猛烈なプレッシャーをかける。これでペースを握りかけた桃山学院だったが、興國の右サイドバックに入った8番MF武本射雅にこの展開を打開される。

 興國が最終ラインからパスを回してビルドアップするところを引っ掛けたかった桃山学院だったが、武本はプレッシャーがかかっても動じず、更に流れを見てはインサイドにポジションを取りゲームを組み立てる。これによって桃山学院のプレスは無効化され、最終的に一番危険な選手である11番FW永長鷹虎にアタッキングサードで仕事をさせてしまった。

 13分、興國は右サイド中側のレーンでパスを受けた武本が外に流れた7番MF荒川永遠にスルーパスを送るとこれをMF荒川がキープしボックス内まで上がってきた武本にリターン。ここで武本はDFを3人引き付けながら意表を突くヒールパスを選択。パスを受けたMF荒川がポストプレーで落とすと、三人目の動きでボールを受けたMF永長が「ゴール前で落ち着いて自分の形に持って行けた」と鋭いドリブルで2人のDFを交わしすぐさま左足を振り抜きゴール。

この試合1G1Aの活躍の興國11番MF永長鷹虎

 戦術と個人の技術が見事に噛み合った素晴らしい先制ゴールで勢いに乗った興國はそこから面白いようにパスが回るようになり15分、14番MF山本蒼太のスルーパスにボックス内左を抜け出したFW永長がMF山本にリターンのパスを送ると、MF山本がスライディングシュート。GKがこのシュートを弾くとファーで詰めていたMF荒川がゴールに流し込み追加点。分厚い攻撃で興國がリードを広げる。

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 反撃に出たい桃山学院は17番FW松岡大起がきわどいコースに強烈なミドルシュートを放つもこれは1番GK岩瀬陽のファインセーブに合ってしまう。すると27分、興國は「鷹虎とはずっとコンビネーションを高めてきた」というMF山本とFW永長の二人のパス交換で中盤を崩すと「DFが下がってくれたんでドリブルで運びながら最後は自分の得意な形に持って行けた」MF山本の左足のコントロールショットがゴール左に決まり3-0。

 痛い3失点目を喫してしまった桃山学院は選手交代で悪い流れの打開を図る。29分に早くも6回戦でゴールを決めた18番MF石井陽大を投入すると、前半の内に5番DF近藤琉斗も投入。「上手くゲームをコントロールしながら終わらせたかったが、策士の堀先生に上手くハメられた」(興國・内野監督)更にハーフタイムにプレスのズレを調整した桃山学院は後半に入ると見違えて守備が安定する。

 守備面では持ち直した桃山学院だったが、最後のところで中々相手守備陣を崩すことが出来ず時間が経過していく。後半は互角以上に戦った桃山学院だったが一矢報いることが出来ずそのまま試合が終了。3-0で興國が勝利した。

 悔しい準々決勝敗退となってしまった桃山学院。「桃山学院さんが真っ向勝負で来てくれたんで、ファーストディフェンスを剥がせた時にチャンスを作れた」(興國・内野監督)と振り返ったように結果的に桃山学院が前線からプレスをかけに行った事で興國が有利にゲームを進められた事は間違いないだろう。しかし試合の入りで桃山学院に得点が入っていればまた違う展開になったと言えるのも確か。「大阪のサッカーが少しでも前に進めるような戦いに今後もチャレンジしたい。」(桃山学院・堀監督)と怪我人も多い中、プリンスリーグ関西の強豪相手に引かず勇敢に攻めた桃山学院の挑戦に今後も期待したい。

(文・写真=会田健司)

▽令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)大阪予選
令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)大阪予選