プロ注目のストライカー、阪南大高のエースFW鈴木章斗が先制弾!
阪南大高エースFW鈴木章斗(写真=森田将義)
4月18日、高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ2021関西の第3節が行われ、阪南大高と初芝橋本が対戦。2-0で阪南大高が勝利し、今季2勝目を飾った。
試合後、初芝橋本の阪中義博監督が「相手の9番にやられた。あの子がうちにいればという展開だった」と感嘆の声を挙げたように、プロ注目のストライカー、阪南大高のエースFW鈴木章斗(3年)の存在が目を惹く一戦となった。
今年の阪南大高は鈴木を筆頭に技術力の高い選手が多く揃う世代。高1の時にはグロイエンを制しており、今年も前評判が高い。一方で、濱田豪監督が「今年は下手じゃない年だから丁寧すぎる。開幕の産大戦も上手いねと思えるけど、点が入ったかと言えばそうじゃない」と話す通り、ゴールへの思い切りが欠けるのも事実。この日は、「シュートを20本打て!」との指示を受けて、ピッチへと送り出された。
追い風にも押されて立ち上がりから自分たちのペースで試合を進めた阪南大高は、鈴木を起点に右のMF宮﨑悠大(1年)、左のDF保田成琉(2年)がサイドを仕掛けつつ、息の合った連携から中央を崩しにかかった。「練習から対角へのボールを意識してきた」というDF西田祐悟(3年)のロングフィードも効果的だったが、思うように決定機まで持ち込めない。ファーストチャンスは前半18分。西田がハーフウェーライン付近から右に大キック展開すると、受けた宮﨑が切り返しでDFをかわし、ゴール前に低いクロスを入れた。反応したのは鈴木で、「練習通りのタイミングでゴール前に入ったら、良いボールが来たので決めるだけだった」とボレーで合わせて、ゴールネットを揺らした。
最近、点が獲れていないのでゴールだけを意識していた」という鈴木は、30分にも仕事をする。ロングボールを右サイドでコントロールし、そのままDFを突破。シュートも打てる状況だったが、「自分で行こうと思ったけど、中に走り込んでくるのが見えたのでパスを出した」と冷静に走り込んだFW鈴木舷(1年)へのパスを選択し、2点目をお膳立てした。
阪南大高 vs 初芝橋本(写真=森田将義)
阪南大高が2点リードで迎えた後半は、前半とは逆に向かい風を受ける展開に。先週一週間思うように練習できなかった影響もあり、「疲れが出て声が出せなくなった」(鈴木)。対する初芝橋本は1月から3月までみっちり走り込みをしてきたおかげ体力には自信たっぷり。次々に切る交代カードも含めた走力を活かした戦いで主導権を握り始めた。奪ってから素早く前線に展開すると、セカンドボールをMF片山翔太郎(3年)らが回収し、二次攻撃へと繋げていく。攻撃では、ルーキーとは思えない力強さでFW朝野夏輝(1年)が相手ゴールに迫った。後半4分にはゴール前で競り合ったこぼれを拾ったMF荻野悟(3年)がシュートも、GK山形慈温(3年)が好セーブ。15分には自陣でボールを奪ったDF岡本直大(3年)がゴール前まで持ち込むも、シュートが打てない。
「相手に先手を許すんじゃなく、自分たちで先手をとって攻撃ができた」(岡本直)ものの、西田とDF櫻本亜依万(3年)を中心に最後まで集中力を切らさなかった阪南大高の守りを崩せず、2-0でタイムアップ。阪中監督は「うちのゲームに持ち込めているけど、点が入らない。叩き続けてヒビは入ったけど、(ゴールが)割れなかった」と悔しい表情を見せたが、防戦一方だった過去のプリンスリーグとは違い、チャンスは作れているのは収穫と言えるだろう。
また、勝利の立役者となった鈴木は後半こそ疲労から見せ場は少なかったものの、能力の高さを改めて感じさせた。身体的に飛躍を遂げた昨年と比べても、プレーの落ち着きが増しており、プロも十分狙えるレベルにある。本人もこの高卒でのプロ入りを目標にしており、「今日のプレーを続けてたら行けるかもしれないけど、悪い時もあるので波を無くしていきたい」と口にした。
(文・写真=森田将義)