長崎新旧強者対決は、接戦の末に国見が勝利
国見イレブン(写真=藤原裕久)
かつて高校サッカー界で全国を席巻し、県内でも常勝不敗の完全王者であり続けた国見と、2012年のU-18発足以降、短期間で急成長を遂げ長崎のアカデミー年代をけん引する存在となったV・ファーレン長崎U-18。7月15日、「高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2021 九州」第7節で実現した長崎新旧強者対決は、接戦の末に国見が1-0で勝利した。
本来は5月に予定されていながら、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大防止のため延期されていた一戦は、急きょミッドウィークのナイトゲームでの実施が決定。普段と違う環境の中で白熱した戦いが展開された。
ここまでプリンス未勝利ながらも、惜しい戦いを見せることが増えていた国見は、立ち上がりから積極的なプレスと、球際へのタイトな寄せで激しい守備を展開。V・ファーレンのボール回しに対しても冷静にスライドし、付け入る隙を与えない手堅さを見せていく。対するV・ファーレンは、落ち着いてボールこそ回せるものの、原田武男監督が「前半は消極的だった」と振り返ったとおり、前にボールを運ぶシーンが少なく攻撃が停滞。武器であるはずのU-16日本代表候補の七牟禮蒼杜をターゲットにした攻撃も、中島聖翔の突破も単発的な仕掛けにとどまり、0-0で前半を折り返す。
ゴール前で競り合う両チーム(写真=藤原裕久)
後半に入り、パススピードと強度を上げて本来の積極性を取り戻したV・ファーレンは、一気に攻勢を強めていくが、守備が好調な国見はしっかりと守って反撃の機会をうかがう時間が続く。国見の守備をこじ開けたいV・ファーレンは、左右に揺さぶりをかけて徐々に押し込んでいくシーンを増やすものの、池田誉のゴール前でのシュートや安部大晴のFKもゴールはならず。一方の国見も中山葵が背後を狙うカウンターでチャンスを狙うが、こちらもV・ファーレンのCB古田東也の激しい守備に得点まで至らない。
1点勝負の様相を見せる試合が動いたのは66分。カウンターから左サイドでフリーとなった高木佑介がゴール前にクロス。このクロスに対して「トラップして右で打とうと思っていたら、トラップが逸れてしまったんですけど、そのあと慌てずに左にボールを置けたので落ち着いて打てました」という古谷莞大のシュートで国見が先制。追う展開となったV・ファーレンは、この後も再三ゴールへ迫っていくが、国見は二年生GK今村泰斗を中心に最後まで集中を切らさない守備を継続。そのまま無失点で試合を終え、プリンス初勝利をあげることに成功した。
試合後、国見の木藤健太監督は「力は向こうの方がある中で、粘り強くやることがみんなできた。(勝てなくて)自信をなくしていたところがあったので、勝利が必要だった」と安堵の表情。勝因に良いチーム内競争があったことを挙げ、「下のカテゴリーからAチームに上がってきた子が良い仕事をしてくれたし、GKも良い競争をしてくれた」と選手たちの働きを称えて、スタメンに3年生が3人だけだったことを念頭に「これを受けて3年生も奮起してくれると思います」と期待を語った。
一方、敗れたV・ファーレンの原田監督は「前半がもったいなかった。ただ明らかに負けた原因として、前半に攻撃に行かない、前に進まなかったというハッキリしたものがありますし、後半に修正できたように、修正自体は難しいことではないと思います」とコメント。「ここでもう1回勝負の厳しさを教えられたと思って、戦い方を整理していきたい」と来週に開幕する日本クラブユースへ向け修正を誓っていた。
(文・写真=藤原裕久)
▽高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2021 九州
高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2021 九州