攻める国見、隙を突きカウンターを狙うアビスパ 緊張感のある攻防は1-1でドロー決着
国見 vs アビスパ福岡 U-18(写真=藤原裕久)
10月9日、「高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2021 九州」第15節で、2勝2分け8敗で9位の国見と、4勝1分け5敗で暫定5位のアビスパ福岡U18が対戦。前節にロアッソ熊本を破り連勝を狙った国見が攻め、アビスパが粘り強い守りからのカウンターで反撃を狙うという展開の末、1-1で試合を終了した。
夏以降、フォーメーションとシステムの改善に力を入れてきた国見は、4-3-3の形から林海翔・本川瑠空・田﨑翔真・古谷莞大・川添空良ら前線5枚が流動的に動いてボールを支配。故障者などの関係でスタメンに3年生が2名しかいないアビスパは、国見の攻撃陣をつかまえきれず国見攻勢でゲームが進む。
3-4-2-1の福岡は、1.5列目に入る古谷陸翔・西村活輝が背後への飛び出しで反撃を狙うも攻撃はあくまで単発的で、国見ゴールを脅かすには至らない。それでもゴール前に人数をかけて守りきり、前半を0-0で折り返す。
国見 vs アビスパ福岡 U-18(写真=藤原裕久)
後半からボールを丁寧につないでゲームを再編しようとする福岡だが、国見は元川・川添・古谷が細かく位置を変えながらの突破で攻勢を維持。再三に渡ってアビスパゴールを脅かしていく。だが国見がチャンスシーンを決めきれないでいると、55分頃からアビスパもカウンターで反撃開始。アンカー1枚で中盤の底をカバーする北川一真の左右を突いてボールを入れ、国見ゴールへと迫っていく。
ここから立て続けにカウンターでチャンスを作っていたアビスパだが、73分に中盤から北川が縦に入れたボールから裏に抜け出した川添が、アビスパGK甲斐鉄士の頭上を超えるシュートで国見が先制に成功。アビスパは直後に迫がカウンターからゴール前に入り込み決定的なシュートを放つが、ここは国見のGK緒方要が止めてゴールならず。しかし直後の76分、ゴール前に送った長いボールから、最後は藤原尚篤がゴール前で押し込み、アビスパが同点とする。その後も攻める国見、その間隙を突きカウンターを狙うアビスパという緊張感のある攻防が続き、試合は1-1のまま終了。両チームが勝ち点1を分け合った。
「得点してからの戦い方に課題が出た。特に後半は相手が構えてカウンターを狙っているのだから、ボールを失っていけない場所、時間、失い方がわかっていれば展開が変わっていたと思います」
試合後、国見の木藤健太監督は、勝ちきれなかった悔しさをそう吐露した。一方で、「チームの方向性は共有できているし、良くもなってきている」とチーム全体の成長には手応えも口にした。確かに勝ちきれなかった面はあるが、「県高総体で自信持って大会に入れなかった。選手権に向けた戦いにはどう自信を持って入らせてあげられるかが大事。課題を修正してピッチに立たせていきたい(木藤監督)」という国見にとっては、2週間後に開幕する全国高校サッカー選手権長崎県予選前に不安の種を一つ明確にしたとも言える。
一方、関係者をして「本来は県1部リーグを戦っている選手も多い」という状態のアビスパだったが、国見の猛攻を受けながら1失点に抑えたこと、カウンターから得点したことは評価できる。2年生・1年生主体のチームは勝ち点とともに自信を得た部分もあったのではないだろうか。苦しい中での彼らの今後の成長に期待をしたい。
(文・写真=藤原裕久)
▽高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2021 九州
高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2021 九州