米子北の高い守備力が光り強豪に完勝!神村学園はエース福田に一発も敗退

2ゴールを挙げた米子北MF木村愛斗

 令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)は9日に準々決勝を行った。テクノポート福井総合公園芝生広場で行われた神村学園(鹿児島)と米子北(鳥取)の対戦は、MF木村愛斗(3年)の先制点を皮切りに3点を奪った米子北が勝利した。

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 2度のPK戦による勝利を経験するなど苦しい試合が続いてきた米子北だが、この日は持ち前の高い守備力で、相手に理想とするサッカーをさせず完勝と言える試合内容を見せた。ポイントとなったのは、神村学園の特徴であるテクニカルなパス回しをいかに封じるか。試合開始と共に前線からのアグレッシブにボール奪取を狙いに行った。前半2分にMF篠原駿太(3年)の左クロスから、FW福田師王(2年)にシュートを打たれるなどしたが、有村圭一郎監督が「立ち上がりに相手のプレッシャーを上手く剥がせなかったのが敗因」と振り返ったように、米子北の圧力に屈してボールを前に運べない。

 前線のスペースにボールが入っても、DF鈴木慎之介(3年)が冷静な守備対応で福田師王に仕事をさせない。MF大迫塁(2年)や篠原ら神村学園のキーマンにボールが入れば、MF佐野航大(3年)とMF山中奨(3年)のダブルボランチがサポートに入って、挟み込む形で対応。「最初にうちが前から行った時の圧力で、ボールを下げてくれた感じになったので、より前から行けた。あれで間を獲られたり、(福田)師王に入れられたらピンチになっていた」。中村真吾監督の言葉通り、アグレッシブな守備が機能したことで、チームに勢いが生まれていった。

神村学園 vs 米子北

 見せ場が訪れたのは12分。山中からのパスを受けたDF原佳太朗(3年)が右サイド低い位置からゴール前に浮き球を展開すると、「ファーストタッチで良い所に置けたので、振り切った」と振り返るMF木村愛斗(3年)が決めて試合を動かした。18分にはゴール前を抜けたFW片山颯人(3年)が後方にボールを下げて、FW福田秀人(2年)がシュートを放つなど先制後も米子北がチャンスを作ると、30分には左CKを木村が頭で合わせ、2点リードで前半を終えた。

 米子北が風上に立った後半も、「相手が攻める時間に自分が奪ってドリブルとかパスでどんどん行けば相手が対応しにくいと思っていた」と話す佐野を中心に良い守備から攻撃へと移行し、主導権を握って試合を進めていく。後半2分に放った佐野のミドルシュートなど追い風を活かしたプレーも効果的で、神村学園に付け入る隙を与えなかった。11分には木村のスルーパスからゴール前を抜け出した福田がシュート。前に出たGKに阻まれたが、こぼれ球を拾った福田が粘り強くボールを守り、無人のゴールに流し込んだ。

 14分には福田師王のゴールで1点を返されたが、最後まで自分たちの土俵でサッカーを続けた米子北が完勝と言える形で勝利。米子北は準優勝を果たした2009年大会以来となる4強進出。中村監督は「ここからはどこが来ても強い。相手がどうこうというよりも、やってきたことをやりたい。試合を重ねれば、まだまだ良くなると思うので、1試合でも多くやって成長して次に繋げたい」と準決勝の星稜(石川)戦に向けての意気込みを口にした。

(文・写真=森田将義)

▽令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)
令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)