勝負どころを逃さず、後半にたたみかけた大津が4得点。秀岳館を下して全国へ

大津 vs 秀岳館 (写真=井芹貴志)

 「令和3年度県熊本県高等学校総合体育大会」の最終日、決勝では大津秀岳館が対戦。前半はお互いに得点が奪えずに折り返したが、後半に入ってたたみかけた大津が、昨日の準決勝に続いて4得点で秀岳館を下した。
 ただ、試合の序盤にペースを握ったのは秀岳館。前日の準決勝とはスタートポジションを変え、中央寄りでボールを受けるMFペドロと、右アウトサイドの深川碧斗が起点を作って前向きの形を作りつつ、ミドルゾーンでのタイトなアプローチで奪ったボールをアンカー青木裕哉が左右へ散らして大津を押し込む。準決勝の熊本学園大付戦と比べてボールを動かすテンポも上がっており、3分には右サイド深川のクロスからFWカウアン、クーリングブレイクを挟んだ26分にはペドロのドリブルシュート、さらに30分には左からのクロスと決定機を作る。しかし最後の精度や詰めを欠いて先制ならず。一方の大津も、14分に上塚蓮、19分と32分にも一村聖連が狙うなどチャンスを作るが得点には結べず、スコアレスで前半を終えた。
 相手にペースを握られる中でも、前半を踏まえて「サイドハーフやボランチを前に押し出す」(山城朋大監督)という指示とともにピッチ内の判断によって戦い方を調整した大津は、後半立ち上がりからギアを一段上げる。開始直後、左から持ち込んだ森田大智のクロスは合わなかったが、40分、高い位置での一村のインターセプトから小林俊英へとつなぎ、その外からサポートに入った薬師田澪が右足で決め先制に成功。さらに47分には森田のパスに抜け出した一村の折り返しから川口敦史、49分には薬師田のスルーパスを受けた日髙華杜と、秀岳館の背後のスペースをタイミングの良いランニングで突いて加点し、リードを広げる。

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全国切符を手にした大津イレブン (写真=井芹貴志)

 後半のクーリングブレイクを挟み、段原一詞監督の喝が入った秀岳館も再び攻めに出るが大津の守備を破れず、逆にアディショナルタイムに交代出場した山下基成が4点目を奪い、大量点を奪った大津が全国高校総体出場を決めた。
 敗れた秀岳館の段原監督は、「全部ミスからの失点で、自滅です。前半、思っていた以上にやれたことで謙虚さを失い、浮き足立っていた部分もあるし、前半の決定機を決めきれなかったのも敗因。ただ、昨日よりも決定機は作れていたし、攻撃の姿勢を貫いたことはよかった。選手権に向けてやっていくには良い薬になったでしょうし、やれる手応えもあったので、守備を整備して諦めずにチャレンジしていきたい」と話した。
 一方、大津の山城監督は、「プレミアリーグWESTでの経験を通して、ビルドアップしてくるチームに対しての耐性ができ、ボールを動かすチームに対しての苦手意識も無くなっている。後半、工夫してラインを突破できたのは、ピッチ内で感じ取って自分たちで修正する力がついてきた、彼らの才能です」と評価。守備の時間が長かった前半を受け、「足元が多すぎて食われていたので、無理して繋がずに背後をとる」(森田)、「前半は少し全体が下がっていたので、上塚や小林に声をかけて押し出しながら、自分も出ていく」(薬師田)といった意思共有で流れを引き寄せ、相手の隙を突いて得点を重ねる勝負強さが、試合を重ねながらついてきたと言える。またこのゲームでは、前日の準決勝での交代出場からピッチに立った和田理央ら守備陣がよく耐え、「前半に崩れなかった」(平岡和徳総監督)ことも勝因となった。
 2年ぶりに臨む全国高校総体では、チームとしての最高位である7年前の準優勝を上回る、初の全国制覇を目指す。

(文・写真=井芹貴志)

▽令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)熊本予選
令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)熊本予選