夏に強い長崎日大が新たな伝説達成へ決勝戦へ挑む
決勝進出を決めた長崎日大イレブン(写真=藤原裕久)
1月に行われた新人戦県大会でまさかの早期敗退を喫し、無冠でのスタートとなった長崎総科大附。県王座の奪還を目指す「令和3年度(第73回)長崎県高等学校総合体育大会サッカー競技」初戦となる2回戦に登場。国見時代の教え子である堀川純一監督の率いる対馬と対戦し、前半だけで6点を奪う猛攻を見せ、トータル8-0の大勝。圧倒的な力強さで3回戦進出を決めた。
強い。それ以外の言葉が見つからなかった。対馬は離島という地理的条件もあって、県内では決して強豪高というわけではないが、それでも開始直後から長崎総科大附の強さは際立っていた。立ち上がりから個の力を生かして対馬を押し込むと、縦への鋭い攻撃から8分に西岡紫音が先制ゴール。そのわずか1分後には、カウンターから石山風吹が対馬のGK栗田武の位置を冷静に見極めて、頭上を越す山なりのシュートで追加点。さらに1分後には再び速攻で西岡が得点を奪い、瞬く間に3-0と大きくリード。過去10回の県高総体で優勝2回と準優勝2回を含むベスト4以上8回と圧倒的な強さを誇る長崎日大。一方、優勝候補の一角だった創成館を準々決勝で破ってきた諫早商。県央地区の強豪2校が、6月10日の「令和3年度(第73回)長崎県高等学校総合体育大会サッカー競技」で激突した。
長崎日大 vs 諫早商(写真=藤原裕久)
ともにコンパクトな形ながら、ボールを素早くつないでいく長崎日大に対し、諫早商は浅いラインからボールを奪い、長身ながら足下の上手さもある森祐月をターゲットにしたカウンターを展開。ボールを保持する長崎に日大に数では劣るものの、ゴール前に迫るシーンを着実に作っていく。一方、ボールを保持する長崎日大は、連戦の疲労もあって相手の背後に抜け出す動きが少ないため効果的にボールを回せず、何度かあったチャンスも諫早商のCB鳥越翔成・ボランチの鳥瀬太心・GK江越智哉を中心とした粘り強い守りに阻まれ0-0で前半を折り返す。
こう着状態を打破しようと、長崎日大は後半の頭から高嶺史哉を投入。両サイドで人の位置を変えて攻勢を強化。だが、CB津島蓮音の奮闘もあってスコアを動かすには至らない。その後も互いにあと一歩を詰め切れない展開が続く中、暑さと疲労もあって、勝負は次第に集中力勝負の様相へ。運動量も落ち、ゴール前でのミスも目立ち始める両チームだが、どちらも最後のところでは体を張りゴールを死守。後半29分にゴール前の混戦から長崎日大の至白石快周がシュートを放つも、諫早商のGK江越がファインセーブ。
このまま延長突入は確実かと思われた後半終了間際、長崎日大のエース瀬崎耕平が右サイドを抜け出しゴール前にクロス。絶妙なコースへのクロスを白石が頭で流し込み、長崎日大がゴールをゲット。さらに最後の攻撃に出ようとする諫早商から、再び白石が追加点を奪い2-0。そのまま試合を終了し、長崎総科大付の待つ決勝戦へ進出した。
「諫早商業は創成館高校を破って勢いに乗ってくると思ったし、みんなでハードワークして粘り強く戦うチームだなと思っていたので、こういうもつれた試合になるとは思ってました」という長崎日大の亀田陽司監督は、PK戦までもつれることも覚悟していたという。その上で最後まで慌てずに戦った選手に見て「僕の方は後半には心配になったくらいなんで、選手たちの方がしっかりしてたな(笑)」とその成長に目を細めた。敵陣でも面白いようにボールを回す例年の長崎日大に比べれば、今年のチームはボールの回しではやや劣る。だが、勝負所でのしぶとさや強さは例年以上であることを、この試合で証明したと言えるだろう。
現在、県高総体を2連覇中の長崎日大は、翌日の決勝戦で三連覇へ挑戦することとなる。過去には連覇を達成したこともある長崎日大だが三連覇はいまだ経験はない。コロナ禍で中止となった昨年を挟んでの記録挑戦へ向け、エースの瀬崎は「絶対に三連覇を達成します」と力強く宣言した。夏に強い長崎日大が新たな伝説達成へ決勝戦へ挑む。
(文・写真=藤原裕久)
▽令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)長崎予選
令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)長崎予選