長崎総科大附、ノーシードから6戦39得点無失点V
優勝を果たした長崎総科大附(写真=藤原裕久)
目指すは「覇権奪回」の長崎総科大附。昨年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で高総体が中止となったため、二年越しの目標「大会三連覇」を目指す長崎日大。6月11日、「令和3年度(第73回)長崎県高等学校総合体育大会サッカー競技」の決勝戦は、目指すものが明確な2チームが対戦し、前半から攻め続けた長崎総大附属が、粘る長崎日大から後半に3点をもぎ取って快勝。ノーシードから出場した決勝までの6試合で39得点無失点と強さで三大会ぶりの優勝を飾った。
立ち上がりからからタイトな寄せと縦の推進力で圧力をかけていく長崎総大附に対し、勢いに呑まれる形で守勢に回った長崎日大。長崎総大附は右サイドから大久保輝明が積極的に仕掛け、前線では西岡紫音が背後を狙って攻めていくが、長崎日大はゴール前に密集し、全員が体を張った守備で対抗する。
長崎日大が見せる好守の前に、思うような形でフィニッシュまで持ち込めない長崎総大附属は、「ボールを持つ時間は多かったんですけど、効果的に攻めきれなかったので、前半20分あたりからシュートを積極的に打っていった(竹田天馬)」ものの、長崎日大のGK福田雅哉のファインセーブもあってゴールを奪うことができない。逆に序盤20分を無失点でしのいだ長崎日大が、前半の飲水タイム後から徐々にボールを回す時間帯を増やしたところで前半を終了。
長崎総科大附vs長崎日大(写真=藤原裕久)
後半も攻勢には立つものの、長崎日大の深いDFラインに攻撃陣が飲み込まれた形となり、攻撃がゴールに結びつかない長崎総大附属。こう着戦に持ち込んだ長崎日大がこのままペースを握るかとも思われたが、後半の飲水タイム直前の54分、今大会絶好調の西岡が鋭い動き出しから先制ゴールを奪取。
この1点で楽になった長崎総大附属は、焦りの見え始めた長崎日大に対して落ち着いてボールを回し、67分に左サイドから抜け出した石山風吹が、長崎日大のGK福田をかわして、冷静にシュートを決め2-0。この追加点で試合を事実上決めた長崎総大附属は、アディショナルタイムに牧田陽汰のゴールでダメ押しの3点目。そのままクリーンシートで試合を終え、トータル3-0で快勝した。
「僕は何もしていないよ。選手たちに聞いてください(笑)」
試合後、長崎総大附属の小嶺忠敏監督はそう言って取材陣を煙に巻いた。だが、県新人戦の初戦敗退後、九州新人戦やプリンスリーグなど、多くの試合会場で自らスカウティングする姿が目撃されている。
それ自体はいつもの光景だが、今年は例年以上に力が入っているような雰囲気があった。例年以上に勝負にこだわる意識が強かったのだろう。それは選手も同様だ。長崎総大附属の中盤にあって冷静なボールの散らしと優れた判断力を見せた竹田は優勝決定後「ホッとしている」と安堵感をにじませながら笑顔を見せた。昨年末の選手権、そして今年初めの新人戦に敗れた彼らにとって、もう負けられないという気持ちが強かったのだろう。それは竹田の「少し悔しさは晴れたけど、まだまだです。もっと走って、チームのために一つでも多くタイトルを取りたい」という言葉にもあらわれていた。
(文・写真=藤原裕久)
▽令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)長崎予選
令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)長崎予選