鎮西学院、島原商に逆転勝利!両チームにとって夏に克服すべき課題が明確に
強豪同士の対決は鎮西学院に軍配
18日、「高円宮JFA U-18サッカーリーグ2021 長崎県リーグ1部」の第9節が県内各地で開催され、県内屈指の実力校である鎮西学院と島原商が対戦。攻守に粘り強さを見せる島原商の前に先制点こそ許した鎮西学院だったが、素早いパスワークを武器に前半の内に2点を奪い逆転勝利した。
今年の県新人戦・高総体の2大会でともに県内ベスト8入りしたチーム同士の一戦は、クラブチーム出身者が多く、個の技術では優位に立つ鎮西学院がボールを持って試合をスタート。
トップに入った田口泰盛をターゲットにしながら、福村耀秀・柳本良介の両ウイングにインサイドハーフの福島澪音・島野真斗が流動的に動きながら相手ゴールへ迫っていく。これに対して声をかけ合いながら丁寧な守備で対抗する島商は、ミドルブロックを組みながらスライドを徹底して押し返すと、前半19分に牟田侑大のパスからエースの瀬川颯摩が先制ゴール。その後も鎮西にボールを出させるスペースを与えずに試合を進めていく。
だが、ボールを持ちながらも先制点を奪われ、島商の守備を崩せない鎮西は前半の飲水タイムでスタイルを修正。1タッチでのパスを多用して、早いボール回しで島商の守備に少しずつボールを展開できるスペースを作っていくと、27分に島野のボールから泉田颯斗が同点ゴール。38分にも福村が追加点をあげ逆転に成功する。
前半から福村の突破に手こずり、伝統のサイドアタックが思うように繰り出せない島商は、後半に入るとプレスに来る鎮西の背後を狙ったロングボールを多用。試合はここからセカンドボールを巡る攻防が中心のこう着戦へ突入。
同点ゴールを挙げガッツポーズの泉田颯斗
暑さもあってこの後は我慢の戦いとなったが、島商とトレーニングマッチを行った際に瀬川に押し込まれた経験から、福島をアンカーの位置から上げて、高さのある野村宗史をアンカーに入れていた鎮西は、最後まで守備を崩さず。2-1のまま試合を終えて、約1カ月のリーグ中断期間を前にリーグ成績を4勝3敗として勝ち越すことに成功した。
「最初の失点でゲームプランが崩れた」という鎮西の羽根田充弘監督だが、逆転するまでの攻撃はトレーニングでやっていたとおりの形だったという。また暑さのために「我慢する時間が出てくること」を考慮し、前回の島商とのトレーニングマッチでの経験を踏まえたアンカーの起用など、周到なゲームプランは光っていた。
「ウチは早さや強さがある選手が少ないので、立ち位置や、相手を出し抜いて入った時に仕留めるということをトレーニングで意識させています。そこの質は上げていきたいし、後半のような粘り強さを出せるようになりたい」
羽根田監督の言葉通り、後半の粘り強さを常に発揮できれば、前線にスキルのある選手も多いだけに今後が楽しみなチームと言えるだろう。一方、敗れた島原商は瀬川の奮闘こそ光っていたが、林田心や本多暖歩らキーとなるべき選手が良い形でボールに絡んだり、攻撃参加できないシーンが多かった。伝統校らしい安定感が攻守では整っているだけに、このあたりを改善したいところだろう。そういう意味では、強豪同士の今回の対戦は、両チームにとって夏に克服すべき課題が明確となった試合だったのではないだろうか。
(文・写真=藤原裕久)