してやったりのアップセット!PK戦の末、難敵・流経大柏を破った近大和歌山
流通経済大柏 vs 近大和歌山(写真=小室功)
12月29日、第100回全国高校サッカー選手権の1回戦が行われ流通経済大柏(千葉)と近大和歌山(和歌山)が対戦。12年ぶり8回目の出場となる近大和歌山が、激戦区・千葉を勝ち抜いて3年ぶりに本大会に名乗りを上げた流経大柏を、PK戦の末に破り、2回戦に進んだ。
「自分たちが勝てるとしたら、1-0のスコアか、PK戦」
苦戦を強いられるのは覚悟のうえ。厳しいゲームを想定していた近大和歌山の藪真啓監督は、してやったりのアップセットを喜んだ。
前半8分に先制され、トータル19本ものシュートを浴びたが、粘り強い守備が勝利への命綱となった。64分にロングフィードからの素早い攻撃から振り出しに戻すと、そのままスコアは動かず、タイムアップ。PK戦を前に、両者の表情に明らかな違いが見てとれた。
円陣を組んで、スタジアム中に響き渡るような大声を張り上げて気持ちを高める近大和歌山。かたや、猛攻を仕掛けながら追加点を奪えず、そのモヤモヤを引きずっているかのような流経大柏。心理的優位性は近大和歌山にあったと思われる。
先に蹴る相手PKの1本目を右に跳んで止めた勝利の立役者、GK後迫海吏(3年)は「メンタルトレーナーの方に、緊張するような状況で大きな声を出すと緊張が解けると教えてもらっていた。練習試合でもPK戦に負けたことがなかったので、自信があった」と、胸を張る。
勝利に歓喜の近大和歌山イレブン(写真=小室功)
両者4人ずつが成功したあとに迎えた6人目のキッカーが勝敗を分けた。流経大柏がゴールの枠をとらえられず、近大和歌山のそれが冷静にけり込んだ。
「練習してきたわけだから、思いきっていこうと、みんなに伝えていた」
6人目のキッカーを務めたキャプテンの荒木宏心(3年)がこう振り返るとおり、近大和歌山は見るからに強気で、それがプラスに作用していたのは明らかだろう。
流経大柏の榎本雅大監督は悔しさをにじませつつも「先制したあと、なかなか追加点が奪えず、思うような試合にできなかった。選手権の初戦の難しさを感じた。いつもよりセカンドボールが拾えなかったし、相手の集中力が本当に素晴らしかった」と、近大和歌山の奮闘に脱帽した。
(文・写真=小室功)
▽第100回全国高校サッカー選手権
第100回全国高校サッカー選手権