岡山学芸館(写真=オフィシャルサポート)

 雪が舞い始めた後半。高川学園・江本孝監督がまず動く。スタートから山本に代え12小澤颯太(3年)、西澤に代え22梅田彪翔(2年)を投入し、両ワイドをより活性化すると、前線も林晴己、中山の2トップに変更。より攻撃的な姿勢を強調した成果は51分にいきなり表れた。

 山崎の左クロスが右に流れ、梅田が放ったシュートがブロックされた先にいたのは背番号「10」林晴己。岡山学芸館DF・GKの間に生まれたここしかないコースを縫う「最後は気持ちで押し込んだ」シュートがニアサイドに転がり高川学園が同点に追い付いく。

 勢いづく高川学園は60分、ついにあの奥義を解禁する。左サイド深くでFKを得た彼らは3人ずつの「手つなぎぐるぐるサークル」を2つ使ってゴール前に侵入。一度は岡山学芸館のクリアにあったものの、そのこぼれ球を林晴己が独特のタッチでPA右にドリブル侵入しふわりとしたクロス。これを中央で待っていた中山が「(林)晴己がいいボールをくれたので頭で当てるだけだった」逆転ゴールを押し込んだ。

 その後、岡山学芸館はメンバー交代と今井、山岡、途中出場の13寺脇琉生(3年)らの攻撃的選手を前面に押し立てた攻撃で追いすがろうとするが、圧倒的なキープ力を有する林晴己、中山をはじめ、時間を巧みに浪費する高川学園の壁を崩すことはできず。あふれる気迫と確かな技術が融合した白熱した試合は2-1・高川学園の勝利で終わった。

 かくして林晴己、中山の強力2枚看板が2試合連続3得点ずつを決め、かつインターハイ4強の星稜、インターハイ8強の岡山学芸館を逆転勝ちで破り山口県勢14年ぶりの3回戦進出を飾った高川学園。年が明けての2022年1月2日(日)の3回戦も「元気はつらつ、チャレンジャー精神で」(江本監督)立ち向かう。

(文=寺下友徳 写真=オフィシャルサポート)

▽第100回全国高校サッカー選手権
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