阪南大高が前回大会王者の履正社を圧倒!インターハイと選手権の大阪大会2冠を達成

6年ぶり2度目の優勝を勝ち取り宙を舞った阪南大高の濱田豪監督

 11月13日、第100回全国高校サッカー選手権大阪予選の決勝が行われ、阪南大高履正社を3-0で下し大阪の頂点に立った。優勝した阪南大高は6年ぶり2度目の全国大会出場を勝ち取った。

 ガンバ大阪の本拠地である吹田スタジアムで初開催された今年の決勝戦。両校とも1.000人を超える全校応援を実施し、準決勝までとは雰囲気も一変。プリンスリーグ関西で現在首位、前回大会王者の履正社対プリンスリーグ現在2位、インターハイ大阪王者の阪南大高。天候は晴れ、気温は16℃、最高の舞台で名実ともに力のあるチーム同士が激突した。

 注目の立ち上がり、後方からパスを回す履正社に対し阪南大高が前線から積極的にプレスを仕掛ける。吹田スタジアムの芝がボールが滑りにくく履正社のパススピードが遅くなったことで、ビルドアップが阪南大高のプレスの餌食となった。

 試合開始から一方的に押し込む阪南大高は、CKを弾かれた滞空時間の長いボールを10番MF櫻井文陽が迷わずダイレクトで右足を振り抜く。これがシュートブロックに入ったMF名願斗哉の左手に当たり、阪南大高がPKを獲得。試合開始4分で阪南大高が得た絶好機でキッカーはJ1湘南内定キャプテンでエースのFW鈴木章斗。助走でフェイントを入れると落ち着いてゴール左にシュートを沈めた。

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 幸先よく先制した阪南大高はその後も攻撃の手を緩めない。出足が早く中盤で主導権を握った阪南大高は左サイドの裏を度々突破。18番MF田中大翔がドリブルで縦に仕掛ければ、15番FW石川己純も鋭い飛び出しで裏に抜けてチャンスを作る。すると10分、浮き球のパスで裏を取ったFW石川がボックス左に侵入し左足を振り抜く。これは履正社GK平尾駿輝に防がれるも、「相手がクリアするのがわかっていたので、コースを読んで狙っていた」というMF稲垣大燿がDFがクリアしたボールに直接頭で合わせると、ボールが絶妙なコースに跳ね返りゴールに吸い込まれた。

"全国でリベンジ"を誓って決勝に挑んだ履正社のFW廣野大河だったが力を発揮できず無念の敗退...

 流れを変えたい履正社だったが、どうしてもパスが途中でカットされてしまい、阪南大高の速い攻撃に後手に回る。それでもカターレ富山内定の守護神GK平尾が流石のシュートストップでピンチを凌ぐ。電光石火の攻撃で立ち上がりの10分で2点リードを奪った阪南大高は更に追加点を狙う。MF稲垣、FW石川、FW鈴木が履正社に次々とシュートを浴びせると27分、相手のクリアボールを中盤で拾ったMF櫻井からFW石川→FW鈴木とパスを繋ぐとPAエリア手前左からFW鈴木が右足でカットインシュートをゴール右に流し込んだ。

 「あの形をずっと練習してきたけど練習でもなかなかうまく決まらなかった」というFW鈴木の見事なカットインシュートが決まり、阪南大高が3点をリードし前半を終える。前半のシュート数は阪南大高の9本に対し履正社は0本。今大会無失点で常に相手を押し込んできた履正社が相手陣内でプレーが出来ないという衝撃的な内容の前半が終わった。

 コンディションに不安があったという9番FW宮路峻輔を前半途中で下げ、ハーフタイムには「サイドを広く使って攻めよう」と平野直樹監督が選手を送り出した履正社は、後半に入り6番MF山中大輝を投入。10番FW廣野大河がサイドに流れ起点を作る事によってペースを握る。しかしその状況をみた阪南大高の濱田豪監督がすぐさま手を打つ。1年生の8番MF宮崎悠大を投入し5バックを形成し5-4-1でサイドのスペースを埋める。

 これで前線がFW鈴木一人となった阪南大高だが、それでも鈴木はボールを収める。時よりカウンターを見せることで守備一辺倒になる事を防ぐ。選手交代とシステム変更により相手陣内でプレーが出来るようになった履正社だったが、ボールを回す事は出来るものの、クロスボールを上げても阪南大高の最終ライン、DF西田祐悟、DF櫻本亜衣万、DF保田成琉という空中戦にめっぽう強い中央3枚の壁を破ることが出来ない。

圧巻のパフォーマンスでチームを勝利に導いた阪南大高FW鈴木章斗

 結局このまま阪南大高が履正社の攻撃を最後までシャットアウト。決勝という舞台で完璧なゲーム展開を披露した阪南大高が3-0で履正社を下し優勝を飾った。

 勝利した阪南大高の濱田監督は「"矢印は全員前だ"という合言葉で、みんなが前に行くことを理解してこの決勝への想いを選手たちが出してくれました。」と意図的に試合開始から前に圧力を掛けたことを明かし、「相手が3点ビハインドという事で動きがあると思っていたんですが、上手くワンテンポずらして動いてこられたので、戸惑う時間があったんですけど、そこをゼロで抑えられたところがキーポイントだったと思います」と駆け引きがあったとし、後半開始ではなく、少し経ってからシステムを変更してきた事に戸惑いながらも、選手たちが上手く凌いで時間を作ったことが大きかったと振り返った。

 6年ぶり2度目の出場となる全国大会出場については「前回は行ってすぐ帰ってきてしまったので、初戦突破が目標」と控えめに抱負を語った濱田監督。インターハイでは3回戦の神村学園戦で試合開始から圧倒され、この試合の逆の展開となってしまっただけに、阪南大高にとってこの大阪大会で掴んだ結果と自信は大きい。ポテンシャルは十分なチームだけに全国大会での躍進が期待される。

 (文・写真=会田健司)

▽第100回全国高校サッカー選手権大阪予選
第100回全国高校サッカー選手権大阪予選