武蔵越生、優勝候補筆頭格の昌平を1-0で破る金星

歓喜の武蔵越生

 第100回全国高校サッカー選手権埼玉予選は23日、3回戦8試合が行われ、ベスト8が決まった。前回の決勝カードと同じ顔合わせとなった昌平武蔵越生の対戦は、武蔵越生が1-0で昌平に競り勝って昨年の雪辱を果たした。31日の準々決勝で今年の関東高校大会王者、西武台と対戦する。

 県S2Bリーグで首位に立つ好調ぶりを今大会でも持続する武蔵越生は、1回戦で難敵の市立浦和を2-0と下し、2回戦も好チームの大宮南に3-0で快勝するなど、攻守に力強さを発揮してきた。

 6月の全国高校総体予選までは5バックを採用していたが、その後は4-4-2へと陣形を変え、守備陣の強さと前線の快足を生かした逆襲・速攻で優勝候補筆頭格の昌平に立ち向かった。押し込まれてもボールを奪うと、守備ラインからのクリアパスを最前線に放り込む戦法を繰り返し、それが前半34分に実った。

 右SB高村祐冬(3年)がロングキックを蹴り上げると、強風で押し戻された。FW伊藤稜賀(3年)と昌平のCB八木大翔(3年)が、ワンバウンドしたボールを競り合い、奪った伊藤がGK西村遥己(3年)の脇を抜いてゴール左隅に決勝点を流し込んだ。

 前半だけで3本の決定打を含む10本のシュートを打たれ、守勢に立たされていた。しかし、前回大会も経験した2年生GK関根拓郎(2年)の好守をはじめ、昨年は1トップで奮闘し、新チームからCBとなった183センチの須田櫂舟(2年)を中心とした守備ラインの粘り強く忠実な応対もあり、前半を無失点で折り返した。

 後半も昌平の時間帯が長く、好機は終了間際にカウンターからいずえも伊藤が放った2本だけ。それでも前半同様にタイトな守りと関根の好セーブで、とうとう虎の子の1点を守り切り、金星とも言える殊勲の勝利をもぎ取った。

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試合後の両校

 今春就任したOBでもある井上精二監督は、「全員が粘り強く集中を切らさずに戦ってくれた。この会場にいる誰もが昌平さんが勝つものと思っていたことでしょうが、いいゲームをやろうと送り出し、その通りの結果を出してくれました」と後輩でもある教え子が誇らしそうだ。

 決勝ゴールをものにした伊藤は、「風が強かったから戻ってくると予測していました。落ち着いてシュートを決められ、去年のリベンジができてうれしい」と今大会の2点目が、最難敵を撃破する価値あるゴールとなり、笑顔が絶えなかった。

 第70-72回大会の武南以来の3連覇を目指した昌平は、昨季のプリンスリーグ関東で3位となり、今季も中盤戦までは3位を堅持したが、直近は3連敗を喫して6位に後退し、今大会を迎えた。しかし初戦の2回戦では飯能南に1本のシュートも打たせず、35本のシュートを放って5-0と大勝していた。

 3回戦でも右MF篠田翼(2年)やトップ下の荒井悠汰(2年)をはじめ、積極的に攻め上がる左SB篠田大輝(3年)らが、前半立ち上がり次々と際どいシュートを放った。1点を追う後半も長い時間でボールを保持し、外から中央から攻め立てて主導権を握ったが、とうとうゴールを割れずに無得点で敗れた。

 前回大会まで8年連続でベスト4以上に進み、全国高校選手権でも2大会続けて8強入りした昌平だが、第90回大会以来10年ぶりに3回戦で姿を消した。

 藤島崇之監督は「相手GKのビッグセーブなどもあったが、点が取れなかったことに尽きる。チームとしての出来は良かったし、コンディションも悪くなかったのですが……」と消沈、さすがにショックの色は隠せなかった。仕掛ける頻度が少なかったのでは尋ねると、「引かれていたが、もっと突破することにフォーカスしても良かった。コンビネーションでの崩しが、少し足りませんでしたね」と無念そうに言葉をつないだ。     

(文・写真=河野正)

▽第100回全国高校サッカー選手権埼玉予選
第100回全国高校サッカー選手権埼玉予選