FW櫻井敬太のV弾で武南が細田学園を下し、4年ぶり28度目のベスト4へ
決勝ゴールを決めた武南FW櫻井敬太
第100回全国高校サッカー選手権埼玉予選の決勝トーナメントは31日、浦和駒場スタジアムで準々決勝の残り2試合が行われ、第1試合は15大会ぶりの優勝を目指す武南が1-0で細田学園を破り、4年ぶり28度目のベスト4へ名乗りを上げた。11月7日の準決勝で西武台と対戦する。
今季の武南は県S1リーグでは暫定7位と不調ながら、関東高校大会と全国高校総体の両予選とも準優勝。今大会には3回戦から登場し、春日部東から9点を奪って大勝スタートを切っている。
軽やかなドリブルで持ち上がり、好機を演出するのが持ち味でもある主将で左ストッパーの中村優斗(3年)が、3試合で6得点している細田学園のエースFW金子弘輝(3年)を監視するため、自ら中央DFを志願して厳重な警戒網を敷いた。
水野将人(3年)、山田詩太(2年)、内田龍聖(3年)のMF陣を中盤に並べ、この3人を経由地にして攻撃がスタートした。
前半の先制機は2度。8分に相手のバックパスを奪ったFW櫻井敬太(2年)がGKと1対1になったが、勢いのないシュートはGK浅倉達也(2年)の懐に収められた。12分は前半最大のビッグチャンスで、DF江川颯軌(2年)の低くて速い絶好の右クロスを櫻井が合わせたが、枠を捕らえ切れなかった。
細田学園は昨年からボランチを担当する小林京介(3年)が、視野の広い戦術眼とパス出しで攻撃陣をリードし、2トップをターゲットにした長いボールも効果的だった。前半17分にMF田端優作(2年)が強烈な一撃を放ったが、ゴール内にいた中村にヘッドでクリアされ、33分のFW滝澤夏惟(2年)のヘディングシュートはわずかにバーを越えた。
前半は10本のシュートを記録した武南が、3本の細田学園より優勢に進めたが、ともに無得点で終了。
細田学園 vs 武南
後半に入ると、いきなり4分に武南が決定機を迎える。内田の右からの出色の最終パスを櫻井がシュートしたが、これもゴ右に外れてゴールを割れない。
この試合で決勝点の次に盛り上がったのは、後半35分の細田学園の2本のシュートだ。
SB五十嵐隆成(3年)が、左からテンポよく攻撃参加して好クロスを配給。金子のヘディングシュートはバーをたたいた後、左ポストに弾かれ再び金子が頭で後方にそらすと、FWジャハンプールラミーン(3年)が拾って強シュートを放ったが、これもバーに嫌われてしまった。
3分のアディショナルタイムに入ろうとしたその時だ。武南は相手のクリアボールを左DF重信有佑(2年)が回収し、素早く櫻井に預けた。ペナルティーエリアに進入した櫻井は左足を振り抜き、ゴール真上に決勝点を蹴り込んだ。
厳しい戦いを制した内野慎一郎監督は「難しい試合になるのは想定内で(ベスト8くらいの)レベルになると、どこが相手でも怖いものです。櫻井は今日の試合でも、シュート練習でも外してばかりでしたが、最後に決めてくれたので褒めてあげたい」と4強進出を喜んだ。
決勝ゴールを引き寄せた櫻井は、「絶対決めてやろうという気持ちで打ちました。それまで何度も外していたのでうれしかった。あと2試合、チームのために尽くせる選手になりたい」と破顔一笑の体だった。細田学園は1回戦で浦和北に4-2で逆転勝ちし、2回戦では東農大三に3-0で快勝。3回戦は浦和西との延長戦を2-1で制し、創部15年目にして3年連続3度目のベスト8に進むまでの強豪となった。上田健爾監督は「いい入りができたと思うが、最後は決め切る力の差が結果に表れた。これからはもっとプレーの質を上げていきたい」とさらなる挑戦を続ける覚悟を示した。
(文=河野正)
▽第100回全国高校サッカー選手権埼玉予選
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