大野聖吾監督率いる初出場クラーク国際岐阜が4人のハットトリックを含む15発発進!

ベンチから指示を送る大野聖吾監督

 10月2日、第100回全国高校サッカー選手権岐阜予選の1回戦が行われ、クラーク岐阜駅前キャンパスが15-0で岐阜清流特支を下し、2回戦に駒を進めた。

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 パスが微妙にずれ、シュートはクロスバーを叩く。岐阜工で2度の全国準優勝を誇る大野聖吾監督が思わず「全員動きが硬かったね」と、苦笑いするような出だし。そんなギクシャクとした時間を、MF中島颯太(1年)の一撃が切り裂いた。前半4分、ペナルティエリアの右手前に転がってきたボールをワントラップし、右足を「思い切り振り切った」(中島)。約 30mの弾丸ライナーがゴールネットを揺らすと、クラーク国際のせきを切ったような得点ラッシュが始まった。

 前半だけで中島とMF大郷海夢(1年)の2人がハットトリックを達成。後半にはFW佐竹斗耶(1年)、途中出場のDF鈴木陽太(1年)も続いた。実力差のある相手だったが、安易に前線にボールを入れるようなプレーは控え、中盤では長短のパスを丁寧につないだ。ボールを早く回しながらも、常に味方の3トップと相手ディフェンスの位置関係を確認。サイドチェンジするのか、スルーパスでDFの裏を狙うのか、得点できる確率の高いプレーを個々の選手が判断し、ボールを前に運んだ。試合前の大野監督の指示「個でチャレンジするだけでなく、チームでチャレンジ」を、ピッチの選手が最後まで実践し、大量15点の結果を出した。

 大野監督自身「(風間八宏氏が監修するサッカースクール)トラウムとしても、クラークとしても、自分としても、すべて0からのスタート」という覚悟で迎えた選手権予選だが、この日は緊急事態宣言明けで、ほとんどチームトレーニングができずに臨んだ。

軽快な動きで相手DFを突破するMF中島颯太

 宣言期間中、主将の DF 井澤粋人(1年)は自宅裏の広場で「体力がおとろえないよう」、一人でランニングやドリブル練習を行った。大郷は自宅から自転車で 10 分ほどの公園に通い、壁に向かってボールを蹴り続けた。 MF 服部公紀(1年)は、仕事帰りの父を相手に、パス練習や高く跳ね上がったボールのクッションコントロールを繰り返したという。

 指揮官は「(チーム練習ができない)条件はどのチームも同じですし、まずは試合ができたことに感謝したい。これから勝っていけば、1週間に1試合ずつ試合ができます。これからチーム練習を増やしていって、少しずつチームになって行ってほしい。2年後の選手権では、県でベスト4に入れるぐらいの力があってほしいよね」と期待を口にした。

  10月9日の2回戦は、岐阜県リーグG2の土岐商が相手。自分で3ゴールを決め、アシストも記録したボランチの大郷は「何度か良いプレーは出来たけど、仲間のスピードを殺すようなパスもあった。次の試合までに改善したい」と、大勝した試合後すぐに、意識を次戦に向けた。「(クラーク国際はG3のため)今度は明らかに相手が格上。完全にこっちがチャレンジャー。今日以上にアグレッシブに戦います」と井澤主将。名将と1年生19人のクラーク国際がすぐ、次の一歩を踏み出す。

▽第100回全国高校サッカー選手権岐阜予選
第100回全国高校サッカー選手権岐阜予選