0-2とされたV・ファーレン長崎U-18は、サイドへの展開を早めながら、相手の背後を突く攻撃を展開しようとするも、前橋育英の守備を支える岩立祥汰・桑子流空・柳生将太らDF陣を崩せぬまま。ピッチ中央を前橋育英も依然として制圧されたままで、効果的な攻撃を繰り出せない時間が続く。状況の打開を狙うV・ファーレン長崎U-18は池田誉を投入し、前線の機動力向上を狙うが、それでも前橋育英の守備は崩れぬまま。終了間際に安部のFKからもチャンスを作るシーンはあったものの、試合はそのまま終了した。

V・ファーレン長崎U-18 vs 前橋育英

 両チームの明暗を分けた理由として最も大きな理由をあげるとすれば、チームとしての経験値の差となるだろう。V・ファーレン長崎U-18は、ゲームの入り、中盤を制圧されてからの修正力、ゴール前での集中というあたりに大舞台への不馴れさを感じさせた。それは試合後の原田監督の言葉にもよくあらわれている。

 「今日は我慢比べのゲームになると思っていた。ですが前半飲水タイム直後と、セルフジャッジして止まったところ・・前半の2つの失点が痛かったですね。相手はやり続けて得点を決めた。もっと90分の中で我慢比べができれいればとは思いますが、相手の力を認めなきゃでしょうね。こういう経験をたくさんしていかないと成長はしていかなと思います」

 一方の前橋育英は連動したプレス、チーム全体での仕掛ける姿勢、ゲームのどこを押さえれば有利かを理解しているようなシーンが多かった。このあたりが山田耕介監督が前橋育英で築き上げてきた伝統という強みだろう。そういう意味でこの試合は、百戦錬磨の前橋育英が、創立10年目のV・ファーレン長崎U-18に歴史の重みを見せた試合だった。勝った前橋育英はこれで念願のプレミアリーグ参入を達成。さらに選手権を前に良い手応えをつかんだという意味も、収穫の多い一戦となった。

 (文・写真=藤原裕久)

▽高円宮杯U-18サッカーリーグ2021プレミアリーグプレーオフ(参入戦)
高円宮杯U-18サッカーリーグ2021プレミアリーグプレーオフ(参入戦)