しかし後半は明桜が反撃に出る。37分FW臼田成那(1年)が馬力のある突破で相手守備陣を切り裂いてクロス。そしてゴール前に入ってきたのは右サイドハーフに入っていたFW藤山成弥(2年)。先月のプリンスリーグ東北参入戦でも東北学院高戦でゴールを決めたアタッカーは落ち着いてシュートを決めて先制に成功した。

 その後は野辺地西もDF山内琉聖(2年)のロングスローなどで決定機をつくり出し、試合終盤にはゴール前に切れ込んだ田中がシュートを放つが、クリアされてしまう。70+4分、このクリアボールを拾ったのは明桜キャプテンFW佐藤拓海(2年)。右サイドを突破してクロスをゴールに押し込んだのはまたも藤山。このゴールで試合を決定づけた明桜が2-0で勝利し、2回戦専大北上(岩手県2位)戦に駒を進めた。

2ゴールを挙げた明桜FW藤山成弥(写真=小林健志)

 勝利した明桜原美彦監督は「全然ちぐはぐでおさまりどころが悪かった」と振り返ったが、「今年は藤山も(佐藤)拓海もそうですが、前に行く力があります」と前への推進力のある選手が揃っているという。その佐藤と藤山は中学生時代ベガルタ仙台ジュニアユースで共にプレーしている。佐藤は「高校のルーキーリーグでは2トップを組むことが多かったです」と語り、2ゴールの藤山も「5年間一緒にいるので、上げて欲しいところ、いてほしいところにいます」と息が合っている様子を語る。

 プリンスリーグ東北参入戦を突破したことで、チームは自信に満ちており、原監督は「3年生が残していったものに対し、やらなきゃ、(プリンスリーグに)残さなきゃ、という気持ちがあります。我慢ができない選手たちでしたが、最後体を張るところは成長しました」と劣勢の時間帯でも、しっかり全員が体を張って戦えた部分を手応えとして感じていた。今大会だけでなく、残留を目指すプリンスリーグ東北や、インターハイ、選手権全国大会出場に向けても、視界良好と言って良いだろう。

 シュート数では明桜を上回っていた野辺地西三上晃監督は「どっちに転んでもおかしくないゲームでしたが、決める時に決めきれず、ビッグチャンスの後に失点してしまいました」と決定機を決めきれなかったことを悔やんだ。コロナの影響で「県教委から対外試合や部活の日数など制約がありましたが、できることをやりながら明桜さんとやれた経験を来年度のリーグ戦や、県高総体、選手権に生かしていきたいです」と、さまざまな制約の中、プリンスリーグ東北参入チーム相手に拮抗した勝負ができたことを今後に生かそうとしていた。「今年は突出した選手がいないので、チームとしての力を上げていきたいです。5年連続(選手権県大会)決勝で青森山田さんにやられていますが、先輩たちの悔しさを含め、打倒山田でやっていきたいです」と、さらにチームとしての総合力を高め、王者青森山田に挑む構えだ。

(文・写真=小林健志)

▽第21回東北高等学校新人サッカー選手権大会
第21回東北高等学校新人サッカー選手権大会