選手権予選直前の高体連の名門校対決、東福岡vs静岡学園はドロー決着
先制ゴールに沸く東福岡(写真=松尾祐希)
高校サッカー選手権予選前に実現した高体連の名門校同士の対戦は勝点1を分け合う結果となった。
10月23日に組まれた両者の対戦は11日ぶり。第8節の延期分として開催された10月11日のゲームでは静岡学園が撃ち合いを制して6-3で勝点3を手に入れている。その中で迎えた今回の第19節は打って変わって、1点を争うゲームとなった。
序盤から主導権を握ったのはホームの東福岡だ。4-1-4-1のシステムで臨むと、前線からハイプレッシャーを掛け続け、相手に自由を持たせない。「当然春先よりも成長しているし、ゲームを重ねるごとに戦うメンタリティーが備わり、プレーの強度も良くなってきた」と森重潤也監督が明かした通り、攻守で相手を圧倒。マイボールにすれば、最終ラインから相手の背後にボールを蹴り込んでシンプルにゴールを目指した。とりわけ、脅威になったのが左サイドハーフで起用されたMF浦十藏(3年)だ。スピードを生かした仕掛けで決定機に絡み、19分にはショートカウンターの起点となってチャンスを演出。30分にはカットインから自らゴールを狙うなど、積極的にボールを前に運んでいった。すると、39分にMF今吉心絆(2年)が高い位置でボールを奪うと、右サイドからPA内に進入。相手GK中村圭佑(2年)を外して中に折り返すと、最後は1トップで起用されたMF下川翔世(3年)がネットを揺らした。
静岡学園MF髙橋隆大(写真=松尾祐希)
一方の静岡学園は川口修監督が「今年の静学は何もないって書いてください」と自嘲気味に話すほど、らしくないイージーミスが続いてリズムを作れない。中盤でボールロストが頻発し、攻撃はMF髙橋隆大(3年/G大阪入団内定)の個人技頼み。単調な仕掛けとなり、決定機と呼べる場面はほとんど作れなかった。
迎えた後半も東福岡が規律の取れた守備と縦に速い仕掛けでリズムを掴む。53分には再び浦が左サイドから中央に切り込んでフィニッシュに持ち込むなど、狙い通りの試合運びでゲームを進めていった。しかし、中盤以降は互いに運動量が落ち、オープンなゲーム展開となる。徐々に静岡学園が盛り返し、個のスキルを織り交ぜながらグループで局面を打開してチャンスを生み出す。すると、81分についにゴールをこじ開ける。髙橋がゴール前で仕掛けると、強引にシュートを打ち込む。これが相手DFに当たってゴールに吸い込まれ、終盤に試合を振り出しに戻した。
以降は互いに球際で激しいバトルを展開し、高体連らしいゲーム展開に。とりわけ東福岡はロングスロー攻勢に加えて186cmのCB江本千泰(3年)を最前線に投入し、ロングボール主体の攻撃でゴールをこじ開けにかかった。しかし、互いに2点目を奪えず、このままドロー決着となった。
脅威となった左サイドハーフで起用された東福岡MF浦十藏(写真左)(写真=松尾祐希)
勝点1を掴んだ東福岡は連敗を4で止め、プレミアリーグ残留に向けて貴重な勝点1を獲得。選手権予選前最後の公式戦で連敗を止められた点や攻守で90分間自分たちの良さを出せた点は大きな収穫となった。対する静岡学園は中盤でゲームを作れず、攻撃の組み立てで課題を露呈。怪我人を抱えている中でどのように立て直しを図っていくのか注目したい。
(文・写真=松尾祐希)
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