山梨学院高等学校 vs 桐蔭学園(写真=松尾祐希)

 しかし、この日の桐蔭学園は違った。初勝利を目指し、選手たちが奮闘。ベンチから盛り立てる声も途切れず、なりふり構わない攻撃で相手を飲み込んでいく。すると、86分だ。途中出場のDF初見渚音(1年)が右サイドを抉って、相手のプレッシャーを跳ね除けてグラウンダーのクロスをゴール前に供給。DF三須友喜(3年)が合わせて同点に追い付く。勢いに乗ったチームは89分にセットプレーの流れから菅沼仁徳(3年)のパスを受けたFW齋藤快叶(2年)が右足でゴール。途中から投入されたアタッカーの逆転弾でリードを奪うと、アディショナルタイムを全員守備で凌いで逃げ切った。

 自信を失いかけていたチームにとって、きっかけを掴む今季初勝利だったのは間違いない。

 「今日のような失点が続き、勝ち点を伸ばせずに苦しんでいた。いくら良いサッカー、思うような試合ができていても、結果が伴わないと選手は下を向いてしまう。今日の勝利は大きい」(八城監督)

 試合後、選手たちは安堵の表情を浮かべていた。その姿からも過去2戦の苦しみが伺える。今季の桐蔭学園は2年前の高校サッカー選手権を経験している選手が残り、経験値は豊富。さらにフィジカル的にも強さがあり、期待値も高かった。さらに今年はBチームが県リーグ2部を戦っており、プリンスリーグ組の主軸とサブ組の強化がスムーズに行えている強みがある。1年生も台頭しており、山梨学院戦では同点弾をアシストした初見を含めて3名のルーキーが出場。「1、2年生が公式戦を経験している。良い選手が多いので自分も焦りがあるし、良い競争ができている」と阿部が話す通り、レギュラー組の刺激になっている。そうした好循環をさらに加速させる

(文・写真=松尾祐希)

▽高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2022 関東2部
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