出水中央、しっかりと守り切って4強入り

鹿児島情報 vs 出水中央

 互いの特徴が随所に見られた一戦は1点を争う接戦となった。

 11月4日、第101回全国高校サッカー選手権鹿児島予選の準々決勝が日置市吹上人工芝サッカー場で行われ、出水中央鹿児島情報をPK戦で下して準決勝進出を決めた。

【フォトギャラリー】鹿児島情報 vs 出水中央

 「私たちはボールを握れるチームではない。堅守速攻を武器にしている」と近野隼人監督が話した通り、出水中央は自分たちの良さを出しながら試合を進めていく。最終ラインや中盤でパスを回さず、ボールを奪ったら素早く前に展開。松下怜央(3年)、野村一颯(2年)の2トップにボールを預け、手数を掛けずに攻め込んでいった。対する鹿児島情報は中盤でボールを繋いでグループで崩す戦い方で対抗する。サイドから攻め込む場面も多く、クロスからフィニッシュに持ち込む場面も少なくなかった。35分にはーなの流れから右サイドを打開。最後はFW鳥越翔聖(3年)がバー直撃のシュートを放つ。惜しくもゴールにならなかったが、主導権を握って前半を終えた。

鹿児島情報 vs 出水中央

 後半に入っても、試合の構図は変わらない。出水中央は鹿児島情報の攻撃を凌ぎながら、カウンターを狙っていく。しかし、決定打が出せない。数少ない好機も鹿児島情報のGK福田礼王(2年)に阻まれる。神村学園のFW福田師王(3年/ボルシアMG入団内定)を兄に持つ守護神の牙城を崩せず、時間だけが経過していく。後半戦は徐々に足が止まり、攻撃の回数が減少。守備に追われる時間が多くなり、耐える時間帯が増えた。延長線になると、さらにその色が濃くなる。そこで指揮官も攻撃に手を加えるのではなく、得点を与えないことを優先。「2トップとサイドハーフを一気に4人代えることも考えて点を取りに行くことも考えた。ただ、待てよと。これで決め切れずにPK戦になった場合はダメージがある」と判断し、延長戦を凌いでPK戦での決着を目論んだ。

 すると、この策は見事に的中。延長の前後半10分を耐えると、PK戦では4人全員が成功。対する鹿児島情報は2、3本目を連続で失敗し、勝利を手繰り寄せた。

 終わってみれば、0-0のPK勝利。苦しいゲームだったが、しっかりと守り切って4強入りを決めた。今季の出水中央は春先から苦難の連続。県新人戦を新型コロナウイルスの感染拡大の影響で出場を辞退し、夏も学校の方針で宿泊を伴った遠征ができなかった。そうした状況下でもめげず、トレーニングを重ねて最後の選手権に標準を合わせてきた。次なる相手は神村学園。決して簡単な相手ではないが、磨き上げてきた堅守速攻で王者に挑む。

▽第101回全国高校サッカー選手権鹿児島予選
第101回全国高校サッカー選手権鹿児島予選