山陽 vs 広島国際学院(写真=寺田弘幸)

 具体的に言えば、プレスのかけ方がうまくハマった。瀬越徹監督はその狙いをこう話す。

 「ビルドアップが始まる最初のパスのところにはプレッシャーをかけに行かず、呼び込んでから次のパスから守備をスタートしようと言ってきました。最初からプレッシャーをかけに行ってしまうと剝がされてしまって、前線に起点を作れてしまうので」

 8分に奪った先制点は2トップの一角に入った原田朋和が相手からボールを奪い、宮迫真汰のパスを受けた板村祥里がシュートを決めた。見事なショートカウンターでゴールネットを揺らした広島国際学院は、後半開始早々に山陽のエース、杉浦晴紀にゴール前で前を向かれて同点に追い付かれたが、48分に再び高い位置で相手からボールを奪ってゴールにつなげる。角谷のラストパスを受けた野見明輝が右足でシュートを決めて勝ち越しに成功した。

山陽 vs 広島国際学院(写真=寺田弘幸)

 その後の山陽の攻勢はチーム一丸となって乗り切った。最後の最後まで集中力が切れなかったのは、夏の悔しい経験があったからだと瀬越監督は話す。

 「われわれのチームの1番のモチベーションは、総体の準決勝で皆実とあたってアディショナルタイムに勝ち越したんですけど、その後にアディショナルタイムで追い付かれて延長で負けた試合。あの悔しい想いがずっとあったので、特にゲームの終わらせ方は徹底してきた。『勝ったチームが強いんだ』と言い続けてきました」

 初めて出場する決勝の舞台で対戦する相手は、総体で悔しい想いをさせられた広島皆実に決まった。

 「今度は皆実に勝って全国に行きたいと思います」(瀬越監督)。モチベーションをみなぎらせて20日の決勝戦に臨んでいく。

(文・写真=寺田弘幸)

▽第101回全国高校サッカー選手権広島予選
第101回全国高校サッカー選手権広島予選