秋田商が逆転勝利でファイナルへ!新屋の粘りを振り切り3ゴール
新屋 vs 秋田商(写真=竹内松裕)
今季は秋田県リーグでしのぎを削る新屋と秋田商が準決勝で激突し、秋田商が逆転勝利で決勝戦に進んだ。
前半はがっぷり四つか、あるいは新屋が押し気味に進める展開だった。球際の競り合いで秋田商の出足を鈍らせてボールを奪う。この前向きの勢いが先制点に結びつく。GK安達琉真(3年)のゴールキックをFW石澤琉真(2年)が頭でディフェンスラインの裏に落とす。そのボールにいち早く反応したMF菅原永暉(3年)が相手DFを振り切って追い付き、左足でミドルシュート。これが見事に決まり前半13分に新屋が先制する。
1点を追う展開となった秋田商はボールを動かして新屋のプレッシャーをかわしながら前進し、飲水タイム後の前半25分に追い付く。サイドを使ってボールを運び、MF米谷海(3年)が左からクロスを供給。ファーの斎藤楓真(2年)が相手DFに囲まれながらもゴールにねじ込んだ。
ここから秋田商が勢いを増すかと思われたが、追い付かれた新屋も集中力を切らすことなく試合を進めて1-1で折り返す。
新屋 vs 秋田商(写真=竹内松裕)
後半も一進一退の構図は変わらず。しかし前半に比べると、秋田商がボールを保持する位置が少しずつ高くなり、MF光田楽生(3年)がタメを作ってチームを動かそうと試みる。すると徐々にサイド攻撃が活性化。FW柳村奈祐太(3年)が右から、DF船川充希(3年)が左からがえぐるような動きを見せて敵陣での攻撃回数を増やしていく。
新屋はキャプテンのMF神戸葵(3年)らを中心に粘り強くこぼれ球を拾って前線に送り、全体を押し上げようとするが、秋田商も人数を掛けて相手のチャンスの芽を摘み取る。すると時間が経つにつれ、新屋の選手たちが足を攣るなどして次々とピッチに倒れ込み選手交代を強いられる。
新屋が苦境を迎える中、秋田商は運動量を落とすことなく後半31分に逆転する。FW川辺瑞輝が前線で競り合い、そのこぼれ球を途中出場のFW泉海斗(2年)が拾ってカウンターを発動。秋田商の応援スタンドが湧く中、泉が冷静に決めて均衡を破った。
秋田商は交代出場の飯田優陽(3年)がドリブルで左サイドを何度も脅かすなど、新屋を自陣に押し留め、後半アディショナルタイムに追加点を奪う。途中出場のMF塩遥音(1年)との連係で抜け出した泉がゴールに流し込み試合を決めた。試合終了の笛とともに、神戸がピッチに突っ伏した。そこに飯田が歩み寄り、神戸の背中に手をあてて敬意を示す一幕があった。
新屋 vs 秋田商(写真=竹内松裕)
秋田商の小林克監督は試合後「新屋さんが粘り強いサッカーを一生懸命やった。スタミナが切れて足が攣る選手が出るくらいハードにゲームをやってきた。こんなにガチガチに堅い彼らを見るのは初めて」と対戦相手を称賛。
一方で自チームに対しては「何をどう言っていいかわからなくなるくらいひどいゲーム。ボールを動かしながら人も動いていく自分たちらしさを出せなかった」とし、「立ち上がりの悪さを改善できていない。後半押し込んだのも相手の運動量が落ちたから」と分析。それでも決勝戦に向けては「例年は中1日だが、今年は中2日ある。これ以上ひどい状況にはならないと思うので、時間をしっかり使いたい」と話した。
新屋の神居正暢監督は「前半、選手たちはテンション高くやるぞという気持ちで行って、良い形で終われた。後半は体力面でコントロールできず、秋田商さんの走るサッカーを見せられて疲れて足が止まった」と総括。「でもこれできちんと次のステップに行けるはず。秋田商さんのようなサッカーを目標にしていかなきゃいけないし、来年もまたこの場で試合をさせてもらいたい」と収穫を得ていた。
(文・写真=竹内松裕)
▽第101回全国高校サッカー選手権秋田予選
第101回全国高校サッカー選手権秋田予選