初芝橋本 vs 日大藤沢

 GKとしては174cmとそれほど長身ではない。しかし永野は「自分はサイズがあるわけでもないですし、たいして技術的にも上手いわけでもないので、できることは頑張ろうと声を出しました。引っ張るプレーヤーではなく後ろから支えるプレーヤーなので、声を出すことは必死にやりました」と、とにかく声を出す。その声がチームに落ち着きをもたらし、時にアツく仲間を鼓舞する。

 PK戦では日大藤沢の1人目が枠を外す。「試合前から“もしかしたらPK戦もあるかも”と思っていました。和倉ユースでも見ていましたが、日大藤沢のGK(岡本亜鶴)が上手くて。でも自分次第だと思ったので、自分が決めた方向に飛びました。逆取られてましたけど(笑)」と笑って話すが、その思い切りの良さも、永野の持ち味の1つ。

 インターハイの和歌山予選では準決勝敗退。その悔しさを胸に永野は「インハイ予選で負けてからはリーグ戦などもボロボロで、何も上手くいかなかったんですけれども、強豪が集まるフェスティバルなどを組んでもらって“この夏でレベルアップしよう”と。自分たちのサッカーは走り回るサッカー。暑い夏から走ることができれば、冬ならもっと走れる。テクニックが上手いわけでもなく、華麗なパスがあるわけでもない。今の時代には古いと言われるかもしれないのですが“ど根性サッカー”みたいなところがあるので、そこの部分では負けないことがいちばんだと思います」とさらなる成長を目指す。

 選手権への思いを聞くと「技術も含めてメンタル的な部分でも、夏の遠征で強くさせてもらっている。この経験をしっかりと活かせるように。今日できても明日できなかったら意味がない。今日ができたことは明日もしっかりやって、和歌山に帰ってもそれを選手権に向けてしっかりやる。浮かれることなく地に足つけて頑張っていきたいなと思います」と永野は語った。

 地道な努力を積み重ねて全国へ。初芝橋本のキャプテン永野貴碩は、きっとそれを成し遂げる。

(文・写真=風間久志)

▽第1回U18青森ユースサッカーフェスティバル
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