大成はMF塚本類のドリブルなどで何度もチャンスを作った(写真=多田哲平)
それでも、嫌な雰囲気を一変させたのは71分だ。自陣からの1本のロングパスに合わせて佐藤が敵陣に抜け出すと、相手GKの位置を見定めて冷静にゴールネットを揺らす。一気に流れを変える値千金の先制弾だった。
成立学園にとっての決定機は、試合を通してこのカウンターの場面くらいだったが、それをモノにする勝負強さが光った。
その後、成立学園は上手く試合を進めながら1-0で勝利。接戦を制して準々決勝へと駒を進めた。準々決勝では修徳と対戦する。
成立学園の山本健二監督は試合後、「相手が攻守に渡って良かったので、やりたいことがなかなかできなかった。もっとアグレッシブにボールを取りにいく守備ができれば良かったんですけど……。でも勝って次につなげられるので良かった」と振り返り、安堵の表情を見せた。
一方で敗れた大成も、堂々たる戦いを披露。スピーディな攻撃で成立学園に脅威を与え続けた。特に左サイドのMF11塚本類(3年)は強烈な突破力を発揮して幾度となく決定機を演出し、MF10舟山陽人(3年)はチャンスメイクとフィニッシュの両面で存在感を発揮していた。
豊島裕介監督は「悪いゲームではなかったし、決めるべきところを決めていたら楽になったゲームでした。一発を仕留めてくる成立さんはさすがですが、そういう強いチームと対等にできているのは自信になるし、1発で仕留められる怖さを知ることができたので、きょうは収穫がたくさんあります」と手応えを語り、「夏(インターハイ予選)とTリーグの2試合で借りを返します」とリベンジを誓った。
(文・写真=多田哲平)
▽令和5年度関東高校サッカー大会東京予選
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