渋谷幕張のFW伊藤壮舞の直接CK弾が決勝点に(写真=佐藤亮太)

 そのDF陣を後ろから厳しく指示を送ったGK1松岡功起は「常にハッパをかけて、尻を叩かないと、(ラインを)あげられないので」と意気軒高だ。

 お互い、チャンスのつぶし合いの様相を呈するなか、FW19伊藤のゴールはまさに値千金。伊藤は登録上FWであるが、今回は左SBでプレー。何度も相手陣内に進入してはこじあけようとするも、そう簡単ではなかった。

 普段、CKのキッカーは右がMF8丹羽侑勇、左は伊藤が担当している。取材メモで振り返ると、CKとFKを合わせ、伊藤にとって(おそらく)4度目の正直が決勝弾となった。

 「狙い通り」と殊勲の伊藤は勝因を「無失点で試合を進められたこと。決めきれれば、ラクな試合になったが、諦めず、守りきれたことが良かった。相手のほうが技術では上。でも走りやメンタルではうちが上。それくらいなことはやってきた。そこで負けたらダメなので」とやはりゴールを呼び込めたのは、走り勝てたことにあるようだ。

 試合後、チームで一番走れるMF10小高知也が「もう動けない……」と大の字になっていた。いかに激しい消耗戦だったことがわかる。

 試合後のミーティングで「きょうはよく頑張った」とねぎらった宗像監督。しかし、こう続ける。「次はもっと強い相手。修正するところはたくさんある」

 きわどい接戦をものにした勝利に浮かれることなかれ。名伯楽はそう諭した。

(文・写真=佐藤亮太)

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