開志学園JSC vs 長岡(写真=会田健司)

 この展開で先にスコアを動かしたのは開志学園JSC。13分、右CKからゴール前で競り合いに勝ったFW8土山都吾がヘディングシュートを放つと、シュートはブロックされながらもゴールラインを通過。じっくり押し込みながらセットプレーで点を取るという理想的な先制点を手にした。

 しかし、ここから天候が徐々に悪化。20分頃からは雨が強くなったのに加え、ピッチを横断するように強風が吹き荒れる。これによってボールが落ち着かなくなると、長岡がMF10鈴木和真を中心に攻撃の回数を増やし、相手ゴールに迫る。

 開志学園JSCとしては1-0のままハーフタイムを迎えたい我慢どころだったが、ここで輝いたのが左サイドのMF7浅野夏輝。ここまでもキレのある動きを見せていた浅野は39分、「自分の武器はドリブル。(小谷野)叶くんから良いボールをもらったので」とボックス左でパスを受けると、鋭いカットインから右足を一閃。「自分の持ち味のカットインからのシュート。自主練の成果が出ましたね」流れが悪い中で、浅野がチームを勇気付ける大きなゴールを単騎で突破し奪ってみせた。

 追いつかれるどころかリードを2点に広げてハーフタイムを迎えた開志学園JSC。この効果は非常に大きく、後半に攻勢を強めた長岡に対して、落ち着いて対応できる余裕をもたらした。そして55分にはPAギリギリ外で得たFKを土山が右足でニアサイドを直接打ち抜き3点目。

 長岡もMF9森山太稀がボックス内からシュートを放つなど、最後までゴールを目指す姿勢を崩さなかったが、リードを上手く活用した開志学園JSCが最後までゴールを割らせずに逃げ切りに成功。3-0で勝ち切り準々決勝に進出を決めた。

 値千金の追加点となった2点目を挙げた浅野は「前回の試合も最初に3点取ってから流れが悪くなる中で、後半に自分が決めて流れを変えたので、今回も自分が決めて流れを変えられた」と自身のゴールに胸を張った。

 「1年から試合に出させてもらって、1年の時は上越に、2年の時は帝京長岡に負けてしまった。今年は最後の年なので優勝したい」と、この選手権の難しさを2度経験している浅野は「優勝までの道のりを考えながらみんなで練習をしてきた」と目の前の試合に向き合いながらも、新潟の頂点をしっかり視野に入れながらこの選手権に挑んでいる。

 「難しい試合になると思いますが、次も自分がゴールを決めて、準決に良い形で繋げたい」。

 準々決勝に進出した開志学園JSCは28日に前回大会王者でプリンス北信越1部の強豪・日本文理と激突する。

(文・写真=会田健司)

▽第102回全国高校サッカー選手権新潟予選
第102回全国高校サッカー選手権新潟予選