神村学園FW名和田我空
神村学園は「ボランチの所でボールを受けることを怖がっていたので、前進が難しかった」と有村圭一郎監督が振り返る。一方で大会前の練習試合では2試合続けて7失点していた守備は、原理原則を徹底したこと、試合経験を重ねたことで大崩れしないようになってきた。
「後ろが少しずつ良くなってきていて、失点しないような状況は頑張って作っていた」と指揮官が続けたようにこの日もDF18黒木涼我(2年)とDF20中野陽斗(1年)を中心にゴール前で粘り強い対応を見せて、無失点のまま試合を進めていく。
攻撃は「サイドが何本突破してクロスを上げたの。脅威になれているかと言えば、なれていない」(有村監督)ため、決定機が少なかったが、一瞬の隙を逃さない。29分には後方からのパスを右サイド受けたFW11日高元(1年)がドリブルからPA内に配球。走り込んだFW14名和田我空(2年)が角度のない位置から「中が見えていた」と素早くクロスを上げると、MF9大成健人(2年)がヘディング。このシュートが決まって、神村学園が先制した。
後半になるとより試合強度が高まっていく。「神村学園の選手は一人ひとりが強い。もう少し一つの立ち位置のズレで外せると思っていたのですが、思いのほかしつこいし、強い」と振り返るのは山城監督だ。中盤での激しいバトルから一進一退の攻防が続き、14分にはDF4鈴木悠仁(2年)が中盤で潰したこぼれ球を名和田が拾って、スルーパス。受けた日高がシュートを放ったが、GKの正面に終わる。
神村学園 vs 大津
24分には大津にチャンス。DF3野口悠真(2年)、MF15福島京次(1年)、畑と繋いで打ったシュートはGK。27分にはMF7中村健之介(2年)のパスから、FW9山下景司(2年)がゴール前に入って行ったが、中野のブロックに阻まれ、神村学園が1-0のまま試合を終えた。
試合後、有村監督は「どっちも疲れていましたね。昨日のゲームを含めて。もう少しうちの課題としてソロでできないといけない。大津さんの方がソロで仕掛ける回数が多いし、それでやられる所も多かったのかなと思いながら見ていました」と課題を口にしたが、複数の主力を欠きながらも総力戦でタイトルをつかみ取った価値は大きい。
「大会前の練習試合は大差で負けていたので、心配していたのですが、大会を通して守備陣が頑張ってくれて準決勝と決勝はゼロに抑えてくれました。この大会期間中でも成長してくれていると思うので、これを続けたい」。名和田の言葉通り、神村学園の成長が感じられる大会になった。
(文・写真=森田将義)
▽第45回九州高校U17サッカー大会
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