帝京 vs 駒込

 ヒヤリとした帝京だが、ピンチのあとにはチャンスが訪れた。後半10分、FW10森田がこの試合、2点目を決めると、23分、MF6近江智哉(3年)の左サイドのクロスを代わったばかりのMF17竹下律(3年)がジャンプ一番、頭で捉え、チーム4点目を挙げた、決着した。

 どんな強豪校でも初戦は、緊張はつきもの。心理的な不安から生じる動きの固さから思わぬ苦戦を強いられる。しかし、帝京からはそうしたストレスはほとんど感じられなかった。

 「(初戦の)固さが出ることを理解しながら、試合に入れたことは大きかった」と話した主将MF8 砂押大翔(3年)によれば、藤倉寛監督からは、先に失点する状況を想定しながらプレーするよう指示があり、この1週間、そのことを意識しながら、駒込戦にむけ準備を進めたという。またチームでは立ち上がり20分以内でまずは1点という共通理解があり、プラン通りの戦いができたといえる。

 ピッチで目立ったのは2得点を決めたFW10 森田。前線で起点になりながら、何度、阻まれても諦めずにシュートを打ち続ける姿勢はやはりストライカー。気は優しくて力持ちを地でいったような明るいキャラクターだ。印象的だったのはチーム4点目を挙げたMF17竹下が決めた直後の一緒に喜ぶ姿。「仲間の得点は自分のゴールのように嬉しいです」とFW10 森田のチームメイトへのあふれるばかりの思いが伝わる。

 4-0とほぼ危なげなく初戦を勝ち抜いた帝京。MF8砂押は「取れるときにもっと点を取りたかったですが、トーナメントなので勝つことが一番。ただ決めるときに決めないとトーナメントは勝ちにくくなります。それは昨年、おととしと散々、思い知らされたので」と2年連続、準決勝で同じ國學院久我山に敗れていることを念頭に、勝ち抜く難しさを語った。なお、帝京は26日、東海大高輪台と対戦する。

 敗れた駒込。4失点だが、よく4失点に抑えたと思える粘りのある戦いを見せた。試合前、宮坂拓弥監督は選手に「たとえ点を取られ続けても、1点を取りに行く姿勢だけは忘れずに最後まで戦おう」と伝えた。この言葉通り、失点しても下を向かず、前向きに戦い続けた。試合終了直後のイレブンの表情には負けた悔しさはあるが、悲壮感はなく、やり切った充実感が見られた。

(文・写真=佐藤亮太)

▽第103回全国高校サッカー選手権東京予選
第103回全国高校サッカー選手権東京予選