「もうずっと追い詰められていて、何回か心が折れそうになった」と試合を振り返ったのは朝霞のキャプテンDF4熊澤圭介(3年)。2度追いつかれる苦しい展開だったが、身体を張った守備に、ロングスローのターゲットとしてチームを引っ張った。

 「親やBチームの子も応援にたくさん来てくれていて、ずっと声を出してくれていたので、追いつかれても追いつかれても"まだいける!"と思えました」。ベンチ入りできなかった選手たちや、両親や友達からの応援を励みに苦境を乗り越えた。

上尾 vs 朝霞

 朝霞の小貫拓也監督は監督就任2年目。就任後、ここまでインターハイと選手権はすべてこの決勝トーナメント1回戦で敗退してきた。しかも、相手のシュートが1本、最後の1分で追いつかれるなど、悔しい負け方も多くここが鬼門だった。それだけに、後半アディショナルタイムに追いつかれた時には「またか」と脳裏をよぎったことだろう。

 それでも小貫監督は「延長もあるから大丈夫だ!焦るな!」とベンチから声をかけた。選手たちも気持ちを切らさず、延長戦で3度目の勝ち越しゴールを奪うと、試合終了のホイッスルとともに歓喜の瞬間を迎えた。

 「どこまでやれるかわかりませんが、ここまで来たからには勝ちに行きたい」(熊澤)「伝統校で力のあるチームなので胸を借りて、この舞台で県の上位のチームに我々がどれぐらいできるのか、チャンスがあれば狙っていきたい。またみんなで一週間いい準備をしたいと思います」(小貫監督)

 やっとの思いで鬼門を突破した朝霞。決勝トーナメント2回戦に進出した朝霞は、10月20日に埼玉スタジアム第4Gで浦和東と対戦する。

(文・写真=会田健司) 

▽第103回全国高校サッカー選手権埼玉予選
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