全国高校サッカー選手権愛媛県大会北条スポーツセンター会場

 さらに松山東4-1-4-1にシステチェンジした際は、3高野が右サイドバックに入り16竹本が左サイドバックへ。中盤は10平松がアンカー役、7田中が右サイドハーフ、8髙瀬がシャドーにポジションチェンジすることにより「済美の立ち位置に対応する」(瀬野明監督)堅守速攻型の戦術で挑んだ。

 はたして試合は前半、松山東が描いた思惑通りの展開で進んでいく。常に自分たちの前に松山東の選手がいることでパスコースを塞がれた済美は持ち味のDF裏への飛び出しが影を潜めることに。それでも30分過ぎからは9宮内のドリブル突破や8河野の左サイドを起点とした攻撃で数度の決定機をつかんだものの、ここはGK1塩谷を含めた松山東の身体を張ったディフェンスに阻まれ、0-0のスコアレスで40分が終わった。

 後半に入ると「判断もなかったし、球際でも負けていた」と前半の戦いを振り返った済美・渡邊一仁監督が動く。まずは7沖宮に変え25藤田晃太朗(3年)を入れ右サイドの活性化を図ると、センターバックの5岡田がフリーでボールを持った際は中盤まで持ち上がり、ダブルボランチの流動的動きをサポート。これにより前半相手を惑わせた松山東は、逆に立ち位置を迷わざるを得なくなってしまった。

 そして迎えた51分、相手GKのビルドアップが緩くなったところを見逃さなかったのは済美25藤田。パスカットした勢いのままゴール前まで運んだ彼の右足シュートが決まり、済美は欲しかった先制点を手にした。

 これで完全にペースをつかんだ済美は続く60分にも右CKのこぼれ球をMF10隅田がヘディングで再びゴール前に入れ、そのボールをダイレクトで合わせた藤田にDF4清水が左足アウトサイドで反応。これが美しい弾道を描いてゴールマウスを破り2-0。

 後半アディショナルタイムのPKは松山東GK1塩谷のファインセーブで3点目こそならなかったが、終わってみれば相手に苦しみながらも、決して冷静さを失わなかった済美がFW藤本佳希(J2モンテディオ山形)がエースだった第90回大会以来、13年ぶり5回目の選手権出場へ向けて初戦を快勝。10月26日の準々決勝では松山学院の挑戦を受ける。

(取材=編集部)

▽第103回全国高校サッカー選手権愛媛予選
第103回全国高校サッカー選手権愛媛予選