流れを引き込みたい両チームは、それぞれハーフタイムに策を仕掛ける。一条は攻撃陣をテコ入れし、MF佐野健人(2年)のポジションをFWに変更。前線から圧力を強めると、奈良育英は「相手に中盤で拾われていたところがあったので、あそこでうちの流れに持っていきたいという意図」(梶村監督)で、MFを大胆に2枚替え。中盤を制圧しにかかる。そのまま流れを掴んだのは奈良育英。プレーメーカーのMF有友瑠(3年)を中心に中盤でのボールを保持しはじめると、後半6分には森嶋がPKを決めて追加点。78分には交代出場のDF平原颯大(3年)がダメ押し点を奪い、勝負を決めた。
頼れるエースが試合をひっくり返した。苦しい展開の中での先制点に藤川は「チームメイトが繋いでくれるチャンスを決めきろうと試合前から思っていた」と力を込めた。悔しい気持ちを力に変えて成長してきた。総体予選決勝の生駒戦では、再三チャンスを作りながらも決めきれず、0-2で敗戦。「あの試合は最後にパスを選んだり、ドリブルの途中で切り返したりしてしまっていた」と悔やむ。夏の間は横浜FCユースや桐生第一などの強豪と練習試合を繰り返しレベルアップ。「今は相手の懐に潜って、シュートを打つというのを意識している。そこは成長できたんじゃないかと思います」と、手ごたえを口にした。
藤川の成長に梶村監督は、「夏を超えて圧倒的に伸びた。起点になり、点も取り、雰囲気も作りトータルでチームを活性化してくれている」と目を細める。先制点をアシストした森嶋も「やっぱりこのチームのエースストライカーだと思っています」と語るなど、チームメイトも全幅の信頼をおいている。
▽第103回全国高校サッカー選手権奈良予選
第103回全国高校サッカー選手権奈良予選