タイスコアに戻したことで勢いを増した旭川実はその後も攻撃の手を緩めない。最前線の西村がボールを収めて時間を作り、背後のスペースを活用する形で何度も攻め込む。19分には左サイドハーフの山内陸が強引に突破を試みると、ファウルを貰ってPKを獲得。これをボランチの中里颯汰が沈め、難なく試合をひっくり返した。
後半に入ると、静岡学園が反撃を開始。しかし、「ボランチの中里がゲームをコントロールしてくれた」と富居徹雄監督が振り返ったように、統率のとれた守りで慌てることなく対応していく。さらに前が掛かりになった相手の裏を突き、速攻を仕掛けて前に行く姿勢は忘れない。「どんな相手でも守って凌ごうとは思っていない。攻め切ってチャンスを作る」という指揮官の言葉通りに試合を運んでいった。終始、試合の主導権を握った旭川実。64分にカウンターから途中出場の金野修那が試合の体勢を決める3点目を奪って勝負あり。アディショナルタイムに1点を返されたが、このまま逃げ切って同校史上初のベスト8進出を成し遂げた。
(文・写真 松尾祐希)