スコアレスで迎えた後半キックオフ。47分、東京朝鮮中高級学校MFリ フィドンがサイドネットに突き刺さる強烈なシュートを放つと、多摩大目黒も49分、FW鯵坂賢が右サイドカットインからクロスバー直撃の一発。互いに積極的にゴールを狙う姿勢を打ち出した後半立ち上がり。両チームDF陣の統率された守備もあり、目まぐるしく攻守が入れ替わる展開で時計の針が進んでいった。

 そして、緊迫した攻防が続く試合を動かしたのはこの男だった。東京朝鮮中高級学校FWリャン ヒョンジュ。64分、CKの流れから左サイドのアーリークロスに合わせ先制ゴールをゲット。1年時の昨季から出場機会が与えれた期待のストライカーが、ゴール前で力強さを発揮し試合の均衡を破った。

 しかし、1点ビハインドを負った多摩大目黒も最後まで諦めない。ボランチ2人は試合序盤から守備面でのケアに翻弄され、攻撃になかなか枚数が欠けられない状況が続くも、前半から献身的な動きを続けるFW加藤天馬や途中出場となったFW古橋謙介らがゴールに迫る。しかし、数多くのセットプレー、さらには後半アディショナルタイム3分も活かすことはできず。今大会ここまで無失点、身体を張った堅守を誇る東京朝鮮中高級学校に逃げ切りを許す形で敗退となった。

 1対0、エースが奪った値千金の決勝ゴールを守り切り、東京朝鮮中高級学校は3年ぶりの2次トーナメント進出決定。来月14日に控える帝京との2回戦へと駒を進めている。

(取材・文=金子 侑史)

▽大会日程・結果
2015年 高校サッカー総体(インターハイ)東京都