米子北は序盤からボランチに位置するMF岡本悠太郎を中心に、積極的な攻撃を展開。サイドハーフに位置する右のMF江口大輝と左のMF山室昴輝が局面を打開し、佐賀学園を押し込む。前半12分には、左からのクロスを佐賀学園が処理し切れないでいると、岡本が見逃さずに右足一閃。ボールの落ち際を叩いた一撃は、佐賀学園・GK吉富大隼を一歩も動かさないままネットに突き刺さった。同15分を過ぎると、「相手の守備が緩くなってきた」と米子北・城市徳之監督も話すように、この隙を見逃さず攻撃陣がトップギアに入る。同27分にはFW谷口喬亮とFW小嶋海斗で左サイドを崩すと、ゴール前のこぼれ球を江口が右足を振り抜いて追加点。同30分に岡本、同32分には小嶋がネットを揺らし、前半だけで4点のリードを奪ってみせた。

 後半に入っても、米子北の勢いは衰えない。同7分には江口がこの2点目となる得点を奪い、リードを5点とする。その後は交代メンバーを早めに投入しながら、追加点を狙う戦い方にシフトチェンジ。同14分には山室が左サイドから抜け出すと、GKとの1対1を制し6点目が決める。 

 対する、佐賀学園も反撃を狙うが攻撃が不発。特にエースのMF三宮捷は勇猛果敢に前線でドリブルを仕掛けた。しかし、周りのサポートが乏しく1人で持ち込む場面が散見。チームが放った5本のシュートを、全て1人で打つ孤軍奮闘も報われることはなかた。

 試合終盤の同33分には、途中からピッチに入ったMF﨑山誉斗の左サイドからネットを揺らし7点目。米子北は攻守に安定した戦いを見せ、危なげなく2回戦へと駒を進めた。 「去年ほど得点がない。プリンスリーグ(中国)の上位とやっても下位とやっても、ロースコアになる。その分、粘って僅差に持っていたり引き分けにするゲームはあるんですけど。この世代はまだシューターが育っていない」と城市監督は話すが、1回戦で見せた爆発力は攻撃陣にとって大きな自信になったはずだ。2回戦の西武台との試合では真価が問われる。

(取材・文・写真 松尾祐希)