11月15日に行われた第93回全国高校サッカー選手権東京都大会決勝。3ヶ月に及んだ激闘を経て聖地西が丘で繰り広げられた310校の頂点を決める東京ファイナルを振り返る。

【Aブロック】
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 緊張感溢れるAブロックファイナルは前半で試合の大勢が決まる。試合開始からわずか1分、セットプレーから都立三鷹中等教育学校が先制点。堀越DFのクリアミスを逃さなかった河内健哉の素晴らしいゴールで勢いづくとさらにその3分後、堀田将弘が追加点を叩き出し2点をリードする展開。この上ない好スタートを切った都立三鷹中等教育学校に対し、“悪夢の4分間”となった堀越。キックオフの興奮冷めやらぬ西が丘は歓声と悲鳴が入り混じり、重要な立ち上がりの攻防が試合の明暗を分けることとなった。

 2点のリードを得て7年ぶりの全国が一気に現実味を帯びた都立三鷹中等教育学校駒澤大学高等学校修徳らの攻撃を抑え込んできた守備陣には間違いなく心の余裕が生まれ、落ち着いた試合運びを披露。安田航の鮮やかなミドルシュートで3点目を奪うと都立三鷹中等教育学校の勝利はほぼ約束される。身体を張った献身的な守備の徹底と終始途切れることのない集中力はこの日も健在、勝利の大きな要因となった。

 一般的に決してセーフティーリードではないとされる2点差から3点差へと試合が動き、勝負が決したと言っても過言ではないAブロックファイナル。堀越にとっては果てしなく大きい3点のビハインドを背負う展開に、チームの中枢を担う石上輝ら攻撃陣の不発も加わって終戦。それでも1年生FW小磯雄大がこの大舞台で一矢を報うゴールを挙げたことをはじめ今大会を振り返れば、選手が主体となってチームを作り上げる“ボトムアップ理論”を導入しここまで勝ち上がってきた点で間違いなく今大会の主役の一人となり、古豪復活を強く印象付けたのではないか。先輩から後輩へと王座奪還の夢が託された堀越サッカーの未来は明るい。

 準決勝までの戦いぶりから一変、3得点の快勝で優勝に花を添えた都立三鷹中等教育学校。前回出場時には都立校として初の全国8強進出を果たした“都立の星”が全国で躍動する姿を期待したい。

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