世界各国のサッカー事情に迫る海外サッカージャーナル。第1弾のスペイン編に続き、今回は日本にとって馴染みの深い“アジアのライバル”オーストラリアに注目。近年、国内最高峰となるAリーグの発足や32年ぶりとなるW杯出場(06年ドイツ大会)、さらにはアジアサッカー連盟(AFC)への転籍といった様々な分岐点を迎えたオーストラリアサッカー。果たして地球の裏側で繰り広げられるサッカー事情はいかなるものだろうか。

-日本の約21倍、広大な国土を有するオーストラリアの気候とは-
 南半球にあるオーストラリアの季節は、日本とちょうど逆となることはご存知だろう。日本が夏の間、オーストラリアは冬を迎え、日本が冬を過ごす間にはオーストラリアに真夏が訪れる。また、日本の約21倍という広大な国土を有し、世界最大の島であるオーストラリアの気候はその特徴として、熱帯性から温帯性まで様々な変化に富み、地域によって異なる気候風土を持っていることが挙げられる。一般的にシドニーやメルボルンと言った都市が属する中・南部沿岸は温帯性で四季があるのに対し、ダーウィン、ケアンズなど北部沿岸は熱帯性、さらに大陸中央部は乾燥した砂漠性といった具合で区別。加えて、どの地域においても年間を通して日差しや紫外線が強いことも特徴の一つである。

 続いて時差について。オーストラリアと日本に時差は1時間前後とほとんどない。ただし、州によっては日照時間の長い夏の約6カ月間、時計の針を1時間進める「サマータイム」を導入しており、時期によっては多少の変化が生じることも忘れてはならない。

-歴史的背景に基づく多文化国家-
 18世紀以降、移民を多く受け入れてきた歴史的背景をもとに多民族・多文化国家の形成が進んだオーストラリア。それは使用言語にも反映され、公用語は英語ながらも家庭で英語以外の言語を話す人の人口も非常に多く、200以上の言語が存在しているとされる。そんなオーストラリアの人々が誇るのは文化融合の象徴ともされる数多くの世界遺産や芸術活動の活発さ。オーストラリア北東部に広がる世界最大級のサンゴ礁帯、グレート・バリア・リーフや芸術的シンボルであるオペラハウスはその代表格であり、オーストラリアを語るには欠かせない文化スポットとして列挙される。

-オーストラリアサッカーのスタイルと環境-
 そんなオーストラリアのサッカースタイルは歴史上、イギリスの影響をかなり受けているとされ、イングランドプレミアリーグに酷似している。近年は戦術面、技術面でも大きく進歩をしているが、それでもなお、パワーやスピードといった身体的な能力の高さが求められるサッカースタイルを敷くチームが多く、そのためフィジカルに優れた選手が好まれる傾向にあるのだ。

 また、サッカー環境においてはすべて芝のコートが整備されている状態。日本にとっては当たり前である土のグランドは見当たらず、プロアマ問わず好環境でのプレーが可能となっている。

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