FW10郡司璃来

 一方、市立船橋は前述の通り、CBに不安を抱えている。粘り強い守備が持ち味だが、名古屋との準々決勝では1-0で迎えた前半のラストプレーにロングスローから失点。ギマラエス・ニコラスがボールに触れられず、オウンゴールで同点弾を献上した。そうした状況を踏まえると、攻撃陣の奮起に期待したい。とりわけ、今大会5ゴールで得点ランク単独トップのFW郡司璃来(3年/清水入団内定)に注目が集まる。収めてよし、仕掛けてよし、打ってよしのゴールゲッターは79分間存在を消していても1分あれば仕事ができるストライカー。今大会は厳しいマークにあっており、名古屋戦もマンツーマンマークに手を焼いてメンタルを乱すような場面もあった。だが、我慢比べに勝ち、後半開始早々に一瞬の隙をついてマークを外し、ワンタッチでネットを揺らした。チャンスは1度あれば十分。抜群の決定力を持つ10番を青森山田がどう止めるのか。キャプテンの山本虎(3年)と小泉佳絃(3年)のCBコンビを軸に守るのではなく、いかにボールを渡さないかも重要になる。パスコースを遮断し、孤立させられれば、ゴールの確率は大幅に減少するだけに青森山田伝統の“ゴールを隠す守備”をしつつ、良い状態でボールを入れさせないことがポイントになるはずだ。

 互いに堅守が武器で決定的な仕事ができる点取り屋を擁する。似たようなスタイルの対決を制し、決勝の舞台に駒を進めるのはどちらか。国立競技場で行われる大一番のキックオフは1月6日の12時5分だ。

(文・写真=松尾祐希)

▽第102回全国高校サッカー選手権
第102回全国高校サッカー選手権