また正木監督自身もインターハイの敗戦を自身の未熟さが故の出来事だと捉え、「正直、僕の経験不足が出た試合。勝てる試合ではあったので、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。あのチームを勝たせられなかったのは、選手じゃなく、自分が原因だと思っていた」。           

 ここでチームは一度バラバラになりかけたが、もう一度原点に戻り、サッカーを楽しみながらいかに勝ち切るかを模索。正木監督も原因をしっかり受け止め、夏の敗戦を今後に生かすことを誓ったという。           

 「勝ち急がない。欲張ると良い事はないんです。チームが同じ方向を向く」ことを肝に免じ、選手たちには「もう1回楽しくやろう」と言葉をかけて立て直しを図った。そこから再び軌道に乗ると、プレミアリーグも最終節で優勝を決め、年間王者に輝いた。そして、迎えた選手権は飯塚との初戦(1-1/5PK3)こそ苦戦を強いられたが、以降は勝負強さを発揮。縦に速い攻撃をベースにゴールを重ねた。青森山田と言えば、フィジカル能力の高さが毎年のようにクローズアップされるが、今季は前線にテクニカルな選手が揃う。そうした選手の特性を生かし、ロングスローやロングボールに頼らない戦い方ができていたのは今年の強み。芝田が中盤の底で配給役を担い、左のMF川原良介(3年)と右のMF杉本英誉(3年)が両翼から仕掛けるカウンターは破壊力抜群だった。大会のトップスコアラーに輝いたFW米谷壮史(3年)が得点源として躍動した点も含め、強さと技術に裏打ちされた攻撃陣は凄まじかった。           

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▽第102回全国高校サッカー選手権
第102回全国高校サッカー選手権