伝統の守備も夏に比べると、簡単には崩れない安定感があった。MF菅澤凱(3年)が中盤の底でセカンドボールを拾いながらピンチの目を潰すし、それでもゴール前に入られた際は山本と小泉のCBコンビが攻撃を跳ね返す。両SBもハードワークを厭わず、献身的なプレーでチームを支えた。さらに目を惹くのはファウルの少なさで、今大会は一度も警告を受けていない。フェアに戦いつつ、5試合で僅か3失点に抑えた守備陣の奮戦も優勝に欠かせない素養だった。           

 「今年のチームには臨機応変に戦うために柔軟性を求めてきた」という指揮官の想いは結実し、最後の冬に歓喜の瞬間を迎えた。フィジカル能力の高さは目を惹くが、それに頼らないサッカーができた点が優勝の原動力になった。強くて勝負強く、巧い。青森山田にとって、新たな歴史を積み上げる一歩になったのは間違いないだろう。           

(文・写真=松尾祐希)

▽第102回全国高校サッカー選手権
第102回全国高校サッカー選手権