最近の高校サッカー全国大会には初出場、初優勝チームが多くみられるようになってきました。それと共に、強豪、古豪と呼ばれるチームでも、少し気を抜くとあっという間に足元をすくわれるという、まさに戦国時代。そんな中でも、変わらずにトップを走り続けるのが、言わずと知れた強豪・青森山田。選手権は17年連続出場(出場回数19回)。インターハイにも14年連続出場(出場回数17回)し、今年はベスト4入りも果たしました。高校サッカードットコムでは、そんな青森山田を率いる黒田剛監督にインタビューを敢行。青森山田の強さの秘密を探ってきました。

――コンスタントに全国で戦えるチームを作り上げていく、その秘訣はどんなところにあるのでしょうか。

 全国への3年計画を考えている指導者が多いと思うんだけど、それはダメ。そんなものあるわけがないんだから、毎年常に狙っていくやり方でないと。それは曲げませんね。そこに対してのベースやモチベーションは落としません。たとえその年のチームのクオリティが低くても、手を差し伸べることはするけれど、こちらからその低い位置に降りることはない。引上げ方式でチーム作りをしていくんです。

 20年前、青森に来た時には18人の部員で、コート一面も取れないボコボコのグラウンドから始めてここまでやってきました。今でこそ中高あわせて180人いますけど、それは「田舎だけど青森山田に行きたい」という魅力作り、商品としての作り上げをしてきたからなんです。ステータスを絶対に落とさないようにHPやグランドなどの環境作り、みんなに興味を持ってもらうためのことをスタッフ全員で心掛けてきたんです。

――「ステータスを作り出す」というのが高いレベルで実現、維持出来ているのは凄い。選手がサッカーをやりに全国から青森まで来ています。

青森山田サッカー部というステータス

 交通の便も昔よりよくなったことももちろんあります。それと、青森山田は兄弟や、先輩後輩など選手たちの繋がりで入ってくる部員が多いのも特徴のひとつ。全国からこの青森に来るわけですから、僕らはもちろん、選手自身も親御さんに責任感を持つわけです。だから「来てよかった」「行かせてよかった」と思わせないといけない。そのために練習に達成感、充実感をあたえ、親代わりの指導を手厚くしていくんです。 もちろん、寮生活ですから生活習慣も培われます。そして年1回帰った時に成長を親御さんに伝える。これはもう、親御さんたちはみんな感動してくれます。「こんなに成長して!」って。
その感動が、周囲にも伝わって、近い人間がどんどん感化されて入ってくるんですね。そうやって感動を与えられるのは我々の喜びにもなります。これだけ全国で戦うチームとなると、きらびやかというか、派手に見られがちだけど、実際中に入ればすごくアットホームなんですね。だから、他の人が見るとサッカー部はいつも楽しそうだなと思われるし、一生懸命に見られる。

――クチコミで納得してから入ってくるとは、選手にとっても家族にとっても本当に魅力的なんですね。とはいえ180人いるわけですから、モチベーションの維持は大変じゃないでしょうか。

 今はトップチームがプレミアリーグに参戦し、その下はプリンス東北でトップを維持しています。もちろんその下も手厚く指導しています。上下の入れ替わりは激しくして全部員にモチベーションをもたせるから道を外れていく人がいない。

――入れ替えは激しいんですか。

 もちろん。チームの中のピラミッドがしっかり出来ていてコーチの配置も出来ていますから、上から下へ、その逆も要望はしっかり拾えます。月1回会議を定期的に行い、要望や問題点を話し合うんです。

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