西武台の守屋保監督

 12月21日、プリンスリーグ関東 プレーオフ(参入戦)の決定戦が山梨県の押原公園グランドで行われた。第1試合、西武台(埼玉)vs関東一(東京)は1-1のまま延長戦でも決着が付かずPK戦に突入し、西武台がPK戦を4-3で制した。勝利した西武台は来季のプリンス関東1部参入が決定した。

 この試合を迎えるにあたって西武台の守屋保監督は迷っていた。「彼らに選手権をいい形で戦わせてあげたい気持ちもあるし、かと言ってこんなチャンスもないっていう、プリンス1部にあげたいっていう気持ちもあるし、自分の気持ちも揺れ動いた」と試合後、その苦しかった胸の内を明かした。

 選手権を目前に控え、コンディションや怪我人の出る危険性を考えれば、この試合に主力を出すべきなのかどうか。さらにこの試合に負けた場合は次の日にも決定戦が行われることから「負けた時のことばかリを考えて、"健康ランドに連れて行って気持ちを切り替えさせた方が良いのか"とか"ガッツリミーティングした方が良いのか"とか。だから試合が終わった時は"フゥー"って何も考えられない気分の良さを感じました(笑)」と勝利したことに安堵の表情を見せた。

 「やっぱりこいつらは負けないんだなー」と守屋監督が感心したように、今年の西武台は埼玉県のS1リーグを12勝6分と無敗で優勝。そしてこのプリンス参入戦も1回戦では桐蔭学園と0-0から、決定戦では関東一と1-1からのPK勝ちと2連勝でプリンス関東1部昇格を勝ち取った。

 2試合ともPK戦の前にGK中嶋を投入したことに対し「選手権前に披露してしまった」と話した守屋監督だが、強豪と練習試合ではなく公式戦を2試合戦えた事、「選手権は80分になるので、PK戦になる確率は高い」と選手権前に本気のPK戦を2度できた事や、「ここで試せなかったら選手権はないなっと思っていた」というDF長谷川が怪我から帰ってきてビルドアップが安定した事など、この参入戦での収穫も沢山あった。

 そしてGK中嶋に対して守屋監督は「彼は腰の怪我があって試合に出れなくなっても、練習を休まずサポートに回ってくれて、第2のGKコーチみたいな感じでいろいろ面倒を見てくれて。彼の信頼度や人間性的に『中嶋が出てきたんだからみんなで絶対勝とう!』っていうのに繋がります。僕も彼が出て勝てば3倍嬉しいですし、負けても悔しさが減少します(笑)。それぐらい彼の存在は大きいと思います」と絶大の信頼を寄せていると話した。

 2試合で1点と攻撃面では課題が残ったが、「負けなければ国立まで勝ち上がることもある」と守屋監督が話した通り、キャプテンDF原田を中心に安定した守備が出来ている西武台はPK戦までもつれてもGK中嶋がいる。"負けない西武台"が選手権でどこまで負けずに勝ち上がれるか。12月29日、西武台は選手権の初戦を迎え、1回戦で三重と対戦する。

 (文・写真=会田健司)

▽高円宮杯 JFA U−18サッカーリーグ2021プリンスリーグ関東 プレーオフ(参入戦)
高円宮杯 JFA U−18サッカーリーグ2021プリンスリーグ関東 プレーオフ(参入戦)