関東一の小野貴裕監督

 12月22日、プリンスリーグ関東 プレーオフ(参入戦)の決定戦が山梨県の押原公園グランドで行われ、関東一は6-1で鹿島学園に敗れ、来季はプリンス関東2部に参入することとなった。

 関東一はこの参入戦、1回戦で健大高崎に4-0で勝利したものの、決定戦で西武台に1-1からPK戦(3-4)で惜しくも敗戦。この鹿島学園戦は2日連続の試合という事もあり、メンバーを変更しながら総力戦で挑んだが、残念ながらプリンス関東1部昇格を逃す結果となった。

 鹿島学園戦後に小野貴裕監督は、「もう満身創痍でした。前半はプラン通りだったんですけど、後半のPKのところとGKのところ(クロスボールが風に乗ってゴールに吸い込まれたシーン)は不運でしたね」と試合を振り返った。

 そして「うちは選手権が28日開幕なので正直仕方がないです。確かに来年の事を考えて頑張って欲しいというのもあるんですけど、選手権は選手権で子供たちが勝ち取ったものなので、いい環境で戦わせてあげたかったので今日は朝まで迷いましたが、こういうジャッジをしました」とメンバー選考に頭を悩ませていたことを明かした。

 それでも「この悔しさを持って選手権に挑めるのはうちしかないので、子供たちが選手権でそれを形にしてくれれば」と前を向いた小野監督。「一個勝ったことでこういう経験が出来たので、それを全員が共有してやっていかないといけないと思いますし、僕自身も色々得るものがありました。この時期にサブの子達が真剣勝負をこうやって出来ることなんてないので、これは本当に大きいです。それに人のために戦うって事がどういう気持ちなのかっていうことも経験できたでしょうし、チームにとっても大きかったと思います」と収穫を口にした。

 「高校3年生という一番心身が充実しているところでのゲーム」は春先や夏に比べるとミスも少なく、大人のサッカーに近付いてきている。選手権前に緊張感のあるゲームがやれたことで「練習試合だと自分たちのやりたいことだけをやってしまう」が風の影響や、点差を考えた戦い方、真剣勝負の中で状況判断することが出来たことは大きな収穫だ。

 そして話がプレミア参入戦に及ぶと、「ずっと速報を見ながら関東プリンスのチームの応援をしていました(笑)。川崎Fが強いのはわかっていたんですけど、前育さんも桐生一さんも凄かったですよね。うちはまだまだですけど、そういう目指すものが近くにあるのでそれは大きいですよね」と近い将来プレミア参入戦を戦う事も視野に入れている。

 続けて小野監督は「高校サッカーもリーグ戦の在り方だったりの変革期を迎えていて、間違いなく言えるのは日常が良くなることが必要で、選手権は一番最後にある大会なので、リーグ戦の質を上げる事が子供たちにとって一番大事なのかなとは思います。だから今後の事を考えるとリーグで上に行くことが絶対だと思います。でも今年度頑張った子たちの事を考えると、自分たちで国立でやれる舞台を掴んだわけですから、この一年間の成果を考えれば選手権は最高の舞台だと思います。そういう意味では両方とも大事だなと思います」とリーグ戦と選手権に対しての考え方にも言及した。

 「過去を振り返ればいい選手がいても勝てない時代もあったので、今は積み重ねてきたものが出て来てくれているので、今まで頑張ってきた人間と今頑張っている人間の結果が組織として合っているのであって、今頑張っている子たちのこの下の土台にはやっぱり今まで頑張ってきた子たちの想いがあって、それがあっての今のうちのチームなので。黄色と言えば帝京さんと言われていたものが、徐々にうちの黄色も認識してもらえてきて、サッカーをやっていてもいなくても、関東一に誇りを持ってもらえるようになってきているのかなと思います」

 「夏は最近行けていないんですけどこの7年で4回、冬はこの6年で4回行けているので、これだけ全国に出ているので子供たちも全国が遠い夢ではなくて、現実的な目標として捉えられるようになっている。先輩から伝わっていって僕が話すことも少なくなって来ています。そういうものが今のうちを支えてくれていると思います」と小野監督は強豪校への歩みを進んできた歴史を振り返った。

 東京を代表するチームに成長した関東一はこれからも高みを目指し進み続ける。まずは目の前の選手権、12月28日に新しくなった国立競技場で中津東との開幕戦を迎える。100回大会という歴史的な大会の開幕戦で関東一イレブンはこの悔しさをぶつけることになる。

 (文・写真=会田健司)

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