ドリブルで仕掛ける阪南大高FW鈴木章斗

 1月2日、第100回全国高校サッカー選手権の3回戦が行われ、駒沢陸上競技場での1試合目では、6年ぶり2回目出場の阪南大高(大阪)が25年連続27回目出場の青森山田(青森)と対戦。阪南大高はエースFW鈴木章斗の大会7ゴール目が飛び出すも、青森山田に1-3で敗れ3回戦で大会から姿を消した。

 その阪南大高のFW鈴木章斗はゲーム後、「結果としては良くはなかったんですけど、全員が戦う姿勢を最後までみせれたので良かったと思います」コメント。

 鈴木の言う通り、阪南大高は立ち上がりから戦う姿勢を前面に出してプレーした。結果として3失点で青森山田に敗れたものの、激戦区大阪を勝ち抜いた力を全国の舞台でもみせてくれた。

 鈴木はこの試合でも58分に「0-3の状況だったので押し込むしかないと思って気持ちで決めれて良かったです」今までやってこなかったロングスローが自身の前にこぼれた一瞬の隙を見逃さず、足を伸ばして押し込み今大会7ゴール目を決めた。

 しかし「高さでは自分は勝てない思っていたんですけど、負ける回数は多かったんですけど何回か勝つことが出来て、自分のプライドとしても絶対に勝つという気持ちがありました。でも結果は負けているので相手のCBの勝ちだと思います」と青森山田の屈強なDF陣との勝負し、2回戦後に「自分が得点を何点も取れば、取られても勝てる」と話していたが、それは実現しなかった。

 まだ得点王の可能性は残すものの、目標である"大迫超え"の11点に届かず大会を去る事となった鈴木。「ここがひとつの難関だと思っていたんですけど、2試合で結果を残せたのは個人としては良かったんですけど、ここを勝たないと自分の目標でもある11得点に届かなかったので、そういう意味ではまだまだ成長していかないといけないと思います」と悔しがり、「切り替えていかないとダメだし、一から始まるのでまた自分をアピールしていきたいと思います」と来年から戦うJの舞台を見据えさらなる成長を誓った。

 鈴木はガンバ大阪ユースに昇格できず、進んだ阪南大高で持ち前の得点感覚を買われ、SHからFWにコンバートされ開花。身長が伸びたことや、少年時代の野球の経験を活かしたボールの落下地点の見極めの速さも手伝い高校屈指のFWに成長した。湘南内定が決まった後もチーム一の練習量で課題に取り組んできたことが、この全国の舞台での7ゴールという結果に繋がった。

 「3年間振り返ると色々あったんですけど、ポジション変更が一番にあって、その結果ここまで来れた。3年生になってまさかここまで来れるとは誰も思っていなかったと思います。チーム全体が最後3年間やってきた事を出してくれていたので、自分が決めていれば勝たせられたと思うので悔しい気持ちはあるんですが、悔いはないです」と鈴木は3年間を振り返った。

 最後に鈴木はチームメイトに対し「全員の強い気持ちや自分のプライドがあったのでケンカすることもあったんですけど、それがあったからこうやって言い合えることが出来て強くなっていってますし、このチームじゃなければ僕も次のプロのステージにいけなかったと思うので、本当にこの仲間たちに感謝しないといけないですし、その感謝を次のステージで恩返ししたいと思います」と語った。

 青森山田という強敵に阻まれ、高校での大迫超えは実現しなかった。しかし鈴木はこれからプロの世界で越えなければいけない壁に沢山ぶつかるはずだ。この選手権で得た経験と悔しさを糧にその壁を乗り越え、湘南の地で輝きを放って欲しい。そして日本を代表するFWになって大迫超えを果たして欲しい。

 (文・写真=会田健司)

▽第100回全国高校サッカー選手権
第100回全国高校サッカー選手権