正智深谷は浦和南を下し、関東大会予選の準決勝へ進出(写真=多田哲平)
選手自身の判断力を磨くのは、大きなテーマだ。小島監督はその重要性を説く。
「僕は判断力はすごく大事だと思っていて、チームスタッフとも共有しています。我々が外からガヤガヤ言っても、結局ボールを持った子どもたちの的確な判断ができなければ、良いプレーは生まれてこない。『右、左、こう動け』という指示を待つだけではダメなんです」
とはいえ選手たちの主体性を引き出すのは簡単な作業ではない。いかにして指導していくのか。
「『狙いはこうだ』と示して、じゃあそれを成功させるためにはどうするのかということ。スキルを上げたり、いろんなことを覚えさせて、判断の材料を植え付けていかないといけません。あとは繰り返しゲームをやらせる。経験ですね。
例えばFKでも、単に大きい選手を狙って、どフリーなサイドを使わないとかではいけない。そういうところで選手たちには、相手はどっちが嫌がるかなとか、どうしたら困るかなということを判断してほしい。
ただ戦うとか、スピードで勝負するというだけでは、この先大学に行ったり、プロでやりたい思って、高いレベルにいった時に通用しないと思うんですよね」
これまでオナイウ阿道(現トゥールーズ)をはじめ何人ものプロ選手を指導してきた。そんな小島監督が見据えているのは、目先の勝利だけではなく、選手の将来である。だからこそ「なかなかコロナ禍で思い切ってできないし、遠征もできない状況なので、経験値が足りないのは分かる。まだ春の段階なので、こういうゲームは想定内」と言いながらも、より高い要求を選手に突きつけるのだ。
「もう1試合やらせてもらえるチャンスができたので、それに向けてしっかり反省したい。今度はどれくらい味が出せるか。また子どもたちの戦いを見たいなと」
まだ新年度が始まったばかり。指揮官は選手たちの成長を期待してやまない。
(文・写真=多田哲平)
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