試合前の帝京ベンチには笑顔が溢れる(写真=多田哲平)

 「帝京に入った時からこんな感じです。変わっているとは自分では思わないです。去年から円陣の時に声をかけていて、チームの雰囲気は意識していますね。試合前ってピリピリしている人もいるし、緊張している人もいる。だから、良い雰囲気で試合に臨めるように、『楽しんでやろうよ』という意味を込めて、ちょっとネタを入れたりしています。

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 やっぱり全員で笑顔でサッカーしたいですし、そういう気持ちもちょっとあって。自分もかしこまってやるタイプじゃないので。笑わせてやろうと狙っている感じではなく、場が和めばなと」

 そんなムードメーカーに日比威監督も少なからず信頼を置いている。

 「自分たちで空気を作ろうとしている。それは伊藤のコミュニケーション能力の高さがあると思う。彼はチームをまとめる、非常に強いキャプテンシーがある。下級生にもよく声をかけて、素晴らしい先輩だなと。頼りにされているんだろうなと」

 一方で伊藤も日比監督の信頼に対して「僕のこういうところを良く思って許してくれる。選手それぞれに個性を出してのびのびやらせてくれます。そういうところはこのチームのすごく良いところです」と感謝を示す。

 現在帝京はプリンスリーグ関東1部では5連勝中で昌平(勝点20)に次ぐ2位につける。インターハイ東京予選ではトップ通過で2大会連続の全国出場を決めた。こうした好調の背景には、キャプテン伊藤の巧みなムード作りがあるのかもしれない。

(文・写真=多田哲平)